「クオリティを2度炸裂させただけ」クラシコで衝撃2発のベリンガム、スペイン人記者が感嘆した“凄み”。「敵サイドはたった2回のチャンスをモノしただけだと口にするが...」【現地発】

2023年11月04日 エル・パイス紙

「全体を通してはほとんどいいところを見せられなくても...」

クラシコで圧巻の2ゴールを挙げたベリンガム。(C)Getty Images

 レアル・マドリーのジュード・ベリンガムは、様々な顔を持ったオールマイティだが、私の一番のお気に入りは、先日のクラシコで見せたバージョンだ。

 この意見を巡ってすでにいろいろな人と議論を交わしてきたし、私が正しいとは思っていないが、そもそも個人の嗜好には主観が入ることは避けられない。あなたが嫌いなフルーツを私が好きだとしても、それを私が嫌いになるように仕向けることはできない。あなたの好みのフルーツはよりエキゾチックでクールなものかもしれない。あるいは万人受けしやすかったり、それを食べることによって血行を促進させ、寿命が延びるかもしれない。しかし私が好きなのはあくまでその果物であり、考えが変わることはないのだ。

【動画】ベリンガムがクラシコで決めた衝撃の2ゴール
 だから、試合を支配するジュード、アシストするジュード、フィニッシュに絡むジュード、スラロームで突破するジュード、ボールの循環をスムーズにするジュードといった様々な顔の中で、ガビの密着マークによって試合中、灰色の雲に覆われ、消え失せ、フラストレーションを溜め込んでいた中でも、一つのセカンドボールを拾うだけで同点ゴールを叩き込み、一つのスペースを見つけるだけで逆転弾を奪うジュードが私のお気に入りだ。

 活発で、幸せで、ファンタスティックな友人の中で、2人きりで会いたくない輩がいる。シャイでクラスの中で大して貢献もせず、語るべき青春時代の武勇伝も持っていない。しかし彼らを見捨ててはならない。なぜならそういう人間こそ、いざという時に奈落の底に沈まないように真っ先に手を差し伸べてくれることが多いからだ。

 誰もが自分の中にスーパーヒーローを隠し持っているのも同じ理由なのかもしれない。その意味では、ジュードはパーティに顔を出す人、葬式に参列する人、そして葬式が自分のものになるのを阻止してくれる人、すべての人間にとって友人だ。

 クラシコにおけるジュードの働きはそれほど私の嗜好にマッチしていた。全体を通してはほとんどいいところを見せられなくても、持ち前のクオリティを2度炸裂させるだけで、チームに逆転勝利をプレゼントすることができることを世界中のファンに知らしめた。

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