「もはや偶然ではない」久保建英の交代→失点の“悪癖”にソシエダ番記者が苦言「タケがピッチにいるだけでどれだけ威圧感があるか」【現地発】

2023年11月01日 ミケル・レカルデ

常に自分のやり方で守備網をこじ開ける

ラージョ戦で一時は勝ち越し点となるPKを誘発した久保。(C)Getty Images

 もちろん同じではない。チャンピオンズリーグのアンセムが盛大に鳴り響く中、まるでワールドカップの試合のようにピッチの真ん中で横一列に並び、800キロ以上の長距離移動を経て応援に駆け付けた3500人のファンと一緒に、ベンフィカのスタジアムでプレーするのと、マドリードの労働者階級の居住区の真ん中に位置するラージョのグラウンドに、地元住民に手を振りながら自宅から徒歩で到着するライバルチームと対戦することだ。

 5日前にベンフィカを撃破し、空に触れた後、再び地に足をつけるには、バジェカスは悪くない場所だった。ラージョの本拠地は数か月前から改修中だが、見た目は数十年前と変わりはない。ピッチとスタンドとの距離が近く、賑やかで活気のある観客の声援も後押しし、実際よりもさらに狭く見える。「海賊の生活は最高の生活だ」とお馴染みのチャントを歌うウルトラスの存在がまたその独特の雰囲気を盛り上げた。

 ベンフィカ戦から中4日と比較的間隔が空き、今週のミッドウィークの試合が6部に所属するブニョール戦であることを踏まえ、イマノル・アルグアシル監督は、ローテーションの採用は最小限に留めた。具体的にはコンディション不良のミケル・メリーノに代わって、U-21スペイン代表のキャプテンでもあるベニャト・トゥリエンテスをインサイドハーフの一角に、不動のCBコンビを形成するイゴール・スベルディアと同様に累積警告による出場停止にリーチがかかっているルビン・ル・ノルマンを温存し、ホン・パチェコをその代役としてそれぞれ起用した。
 
 一方、ベンフィカ戦で今シーズン、何度目かの輝きを放ったタケ・クボ(久保建英)は当たり前のようにスタメンに名を連ねた。そもそも彼は、環境に左右されにくい選手だ。心身ともにタフで、数日前に大一番を戦ったばかりでも、多少の痛みを抱えていても、世界的に有名なスタジアムでも、バジェカスのように古くて質素なグラウンドでも関係ない。常に自分のやり方でハンマーのように打ち込んで守備網をこじ開け、マーカーをきりきり舞いにする。

 この日は、カディス時代に何度か火花を散らしたアルフォンソ・エスピノがその犠牲になった、開始12分、フロリアン・ルジューヌのトラップが甘くなった一瞬の隙を逃さずボールを奪取。ファウルで止めるしかなかったルジューヌのイエローカードを誘発した。

 22分には俊敏な動きと巧みなボールさばきでアブドゥル・ムーミンを翻弄。38分には、深くえぐってクロスを送ると、アルバロ・ガルシアに当たってコースが変わったボールはクロスバーを直撃した。
 

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