「どっちが上位で、どっちが下位なのか」熊本が難敵・清水を相手に痛快なパフォーマンス。起死回生の同点弾で流れを掴む

2023年10月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

10月28日現在で16位に浮上

清水戦で見事なループ弾を決めた平川(17番)。写真:J.LEAGUE

 2023年10月28日、残留を争う熊本がアウェーで2位の清水と対戦。立ち上がりは相手のパスワークに飜ろうされ、ピンチの連続だった。GK田代の好守もありどうにか凌いだが、26分には乾のお膳立てから中山にゴールを許してしまう。

 前半途中までの熊本は、清水の白崎曰く「できることがなくなっていた」。それほど追い込まれており、実際、なかなか反撃の糸口を掴めなかった。しかし、前半のアディショナルタイム、平川のコーナーキックに阿部がヘッドで合わせる形で同点弾を決める。これがまさに起死回生のゴールとなった。キャプテンの平川は語る。

「立ち上がりは苦しい展開が続きましたが、そこから我慢してセットプレーで良い時間帯にゴールを取れたのが大きかったと思います」

 その勢いを駆って、熊本は後半、試合の流れを掴む。タイトな守備で清水のパスワークを封じると、56分、相手からボールを奪った島村のパスを平川が絶妙なループシュートでゴールに結びつけた。「キーパーが出てきた瞬間にループのイメージを持っていました」と平川が言うように、淀みのないフィニッシュで逆転弾を決めたのだ。
 
 さらに67分には、これまた敵陣中央でボールを奪ってのカウンターから、今度は伊東が弾丸ミドルでチームの3点目を奪う。その後は粘り強いディフェンスで清水の攻撃を次々と跳ね返し、結果、3-1と勝利した。

 後半の熊本の戦いぶりを、清水のGK権田も次のように評していた。

「今日は熊本のほうが良いサッカーをしていました。どっちが上位で、どっちが下位なのかなって。後ろから見ていて熊本の出足は早かったし、ゴール前で身体を張るプレーも僕らよりできていた」

 痛快なパフォーマンスで勝点3を積み上げた熊本は、10月28日現在で16位に浮上。J2残留に一歩前進した。「調子の波をなくさないと」と言う平川だが、清水戦の戦いぶりはファン・サポーターに間違いなく大きな勇気を与えた。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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