「俺はクレイジー」「やりゃできる」49歳・伊東輝悦はなぜ現役を続けているのか? しんどくても走れば「若いやつらは何か感じると思う」

2023年10月27日 元川悦子

「もともと練習が大っ嫌い」

プロ31年目の伊東。49歳となった今も、サッカーを楽しむ気持ちに変わりはない。写真:アスルクラロ沼津提供

 2023年のJリーグも終盤戦に突入。44歳の小野伸二(札幌)と南雄太(大宮)が現役引退を発表するなど、プロキャリアに区切りをつけるベテランが何人か出始めている。

 今季の40代JリーガーはJ1・3人、J2・7人、J3・4人の合計14人だけ。その中の2人がユニホームを脱ぐ決断をしたのは寂しい限りだ。しかしながら、彼らより年上の選手でも現役続行に強いこだわりを持つ者もいる。

 その1人が49歳の伊東輝悦(沼津)。現役最年長の50歳・村木伸二(FC大阪)に次ぐ2番目の年長者は目下、日々のトレーニングで精力的に汗を流す。ラスト6試合となったJ3の出場を虎視眈々と目ざしているという。

「今季はほとんど怪我もないし、ずっとトレーニングには参加してますよ。若い選手と一緒に練習するのはメッチャしんどい(苦笑)。僕はもともと練習が大っ嫌いだから、トレーニングはホントにしんどいけど、それでもまだサッカーをやる楽しさのほうが上回っているのかなと。

 3部リーグではあるけど、そういうなかでも若いやつらと競争しながら、刺激のあるなかでプレーするのはすごく楽しい。だから続けていられるのかなと思いますね」と、やや白髪が目立つようになった伊東は爽やかな笑顔をのぞかせた。

 とはいえ、49歳の選手が20代のフレッシュな面々とまったく同じメニューを消化というのは、フィジカル面の負担があまりにも重い。心身両面の疲労は想像を絶するものがあるだろう。
 
 多くのベテランが「若い頃のように身体が動かなくなった」と考え、ピッチを去っていく。もちろん伊東も同じようなギャップを感じた時期があったと言うが、徐々に折り合いをつけていったようだ。

「僕の場合、特別なケアとかは全然してないですね。個人トレーナーとかをつける金銭的な余裕もないし(苦笑)。人間の身体って意外に強いから、やりゃできる。みんなやらないだけなんです。

 昔と唯一、変わったのは、2年くらい前からプロテインを練習後に飲み始めたことかな。試してみようかなと、ふと思ってね。良くなったかどうかは分かんないけど、まあまあ続けてますよ。

 自分のプレーの感覚は正直言って、若い頃に比べたら全然だよね。『もっと動けたのに』とは感じるけど、そんな比較したってしょうがない。20代後半くらいから『今の自分にできることをやればいい』って考えに徐々に変わっていったし、そう思ったらメンタル的に楽になったから。

 それに、サッカーは陸上競技みたいにヨーイドンで走って競うわけじゃなくて、頭を使って上手くやればいい。体力とかスピードで劣ってきてるのは確かだけど、サッカーへの理解だったり、違う分野なら若い時より伸びる可能性はある。そう前向きに考えて、少しでも向上できるように毎日取り組んでますよ」と、伊東は自分なりに前進を続けているという。

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