ボランチが主戦場も、札幌戦でCBを務めたマリノス主将・喜田拓也の覚悟「最終ラインを死ぬ気で守ってきた彼らに対して...」

2023年10月22日 金子 徹(サッカーダイジェスト編集部)

「代わりに入る意識だと最後の一歩とか数センチが遅れる」

CBで先発し、役割を全うした喜田。(C)SOCCER DIGEST

[J1第30節]横浜 4-1 札幌/10月21日/日産スタジアム

 横浜F・マリノスは10月21日、J1第30節で北海道コンサドーレ札幌と対戦し、4-1で勝利を収めた。

 畠中槙之輔、角田涼太朗、上島拓巳、エドゥアルドとCBに怪我人を抱えるなか、誰がCBに入るのか注目された一戦で、スタメンに名を連ねたのが、本来はボランチが主戦場の主将・喜田拓也だ。

 今季のCBでの先発は、ルヴァンカップ準々決勝の第2戦以来、2度目。慣れないポジションでもトリコロールのキャプテンはディフェンスリーダーとなってラインを統率し、的確な判断とポジショニングでクロスボールなどにも対応。及第点以上の働きを見せたと言える。
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 試合後、喜田は「彼らの代わりに入る意識だと、最後の一歩とか数センチが遅れると思ったし、今までマリノスの最終ラインを死ぬ気で守ってきた彼らに対して、中途半端な覚悟で務めるのは失礼だとも思った。彼らをリスペクトしていますし、自分が覚悟を持って務めることで、彼らに感じてほしいものもあった」と力強く語る。そして「今日は自分が後ろからマリノスのサッカーの良さを引き出したいって思ってやっていたので、そこは随所に見られたんじゃないかな」と振り返った。

 喜田の言う"マリノスのサッカーの良さ"とは何なのか。そのひとつはハイラインだろう。実際、札幌戦はこれまでの数試合よりも、少し高めにディフェンスラインを保っていた。その理由について問われると、こう答えた。

「後ろが全体を押してあげることで前は行けますし、後ろを気にせず行けと、勇気を持って行かせたかった。
 
 蹴られる可能性もありますけど、そこは準備と予測、ポジショニングで何とかすると最終ラインの4人で共有して、後ろが中心になって声を掛けることと、ラインを設定するところはやりたかった」

 そして手応えも口にする。

「今まで(CBを)務めていた彼らともずっと話してきたことですけど、後ろの感覚もありますし、細かいことを言えばたくさんあります。ただ、自分の肌感覚で上げられるところまで上げたいというのはありました。

 個人の守備範囲もあるし、どこまで上げられるかは一概には言えないですけど、上げることで押し返せたり、圧を掛けて蹴れないと思わせる。それもひとつの守備のやり方だと思うので、制限できた部分は大いにあった」

 試合終盤にはCB實藤友紀が足をつって交代を余儀なくされ、右SBの松原健がCBに、ボランチで途中出場していた榊原彗悟が右SBに入った。その点も踏まえると、リーグ連覇、ACLのグループステージ突破に向けて、特に守備陣の台所事情は厳しい。

 だが、「今日の試合を観ていた人には、マリノスは捨てたもんじゃないなと感じてもらえたと思う」という背番号8の言葉には、期待が膨らむ。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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