ここまでの変化も珍しい。昨年の完敗から完勝へ同じチュニジア戦で見えた日本の進化ぶり【編集長コラム】

2023年10月18日 本田健介(サッカーダイジェスト)

昨年6月の雨中のゲームではチュニジアに0-3で敗戦

2-0でチュニジアに完勝した日本。好調ぶりを改めて感じさせた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]日本 2-0 チュニジア/10月17日/ノエビアスタジアム神戸

 単純比較はできない。

 それでもカタール・ワールドアップでの躍進を経て第二次森保ジャパンとして今年3月からスタートした日本代表は逞しい進化を見せている。

 昨年6月に大阪で0-3の完敗を喫していたチュニジアとのいわゆる再戦で、最終盤にシュートを1本打たれるのみと(その1本はポストに救われる形となったが)、日本は相手を押し込み続け、2-0の勝利で充実ぶりを示してみせたのだ。

 これで6月のエルサルバドル戦からドイツやトルコを欧州で破ったゲームを含めて5連勝。24得点・5失点の成績で、チュニジア戦では目指し続けたクリーンシートも達成した。

【動画】日本対チュニジアのハイライト!
 昨年6月の一戦から大きく変わったのは、ライン設定と攻撃面の質の向上だろう。

 雨中で3失点した昨年のゲームでは、前半のチャンスを生かし切れず、不安視された最終ラインの裏を突かれて失点を重ねた。そうした対応として、本番のワールドカップではある程度、割り切ってラインを深く設定し、奪ってからの素早いカウンターで活路を見い出したが、今の日本代表はよりモダンに進化している。

 冨安健洋という新たなCBの軸を据え、さらにカタール・ワールドカップでチームとして自信を付けたこともあるのだろう、ハイラインとコンパクトな守備陣形で相手を飲み込み、森保一監督が口にする「良い守備から良い攻撃」をより高いレベルで実践しているのだ。

 さらに枠内シュート0本だった昨年のチュニジア戦後には三笘薫の攻撃面への言及が大きく取り上げられたことも記憶に新しい。

「チームとしての組み立てをやっていかないと、(個々が勝手に仕掛けて)カウンターを受けるなど、毎試合こういう流れになってしまう。チームとしてどうやって攻めていくか、決まり事ではないですが、色んなものを持たないといけないと思います。個人でのコミュニケーションで、『立ち位置をこういう風にしてほしい』と言っていますが、チーム全員で共有できているかと言われればそうでない部分が多いですし、そこが必要かなと思います」

「狙いの細かさというか、そういう面はより必要だと感じますし、そこは色んな人たちで議論してやってく必要があると思います。僕自身も選手やスタッフの方と色んな話をしながら構築していきたいです」

 当時は"戦術・伊東""戦術・三笘"と揶揄する声も聞かれたが、今は、相手を見て、自分たちを見ながらボールを展開し、選手を入れ替えても狙いを持った多彩な攻撃を披露している。

 ワールドカップ前に厳しい現実を突きつけられた完敗から、大きな可能性を示した完勝への変化。

 ここまで、なかなか如実に表われないコントラストが際立った一連のチュニジア戦を経て、日本が確かに前進していることが改めて分かるゲームとなった。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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