WE初参戦でカップ戦準優勝に貢献。新潟L・川澄奈穂美が感じたアメリカと日本の違いは?「やろうとしているサッカーが違う」

2023年10月16日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

指揮官は「かなりハードワークをしてくれる。頭が下がる」と感謝

準優勝したWEリーグ杯で全6試合にスタメン出場した川澄。写真:鈴木颯太朗

[WEリーグカップ 決勝]広島0(4PK2)0新潟L/10月14日/等々力陸上競技場

 アルビレックス新潟レディースは、10月14日に行なわれたWEリーグカップの決勝でサンフレッチェ広島レジーナと対戦。0-0でもつれ込んだPK戦で2-4で屈し、準優勝に終わった。

 頂点には届かなかったものの、延長戦を含めた120分の激闘で、新潟Lの右ウイングで再三チャンスを作り出したのが、川澄奈穂美だった。

 今季からチームに加わった元なでしこジャパンは、持ち前のスピードやテクニックで攻撃を牽引。際どいミドルシュートや、狙いすました浮き球の縦パスなどで決定機を生んだ。

 守備でもチームを引っ張った。切り替えの速さと持ち前の豊富な運動量を活かしたプレッシングやカバーリングで、相手の攻撃を阻んだ。献身的なプレーの連続に、橋川和晃監督も「かなりハードワークをしてくれる。頭が下がる」と感謝した。

 試合後、取材に応じた川澄は「悔しい。勝ちたい、がすべてだったので」と素直な心情を明かす。スコアレスドローながら、劣勢気味になった試合展開を、こう振り返った。

「相手の勢いもそうだし、相手が意図するサッカーを、前半からやられてしまった。そういったなかでも、グループステージの5試合で学んできた、しっかりと耐えることや、全員での守備はできていた」
 
 PK戦終了後、失敗したキッカーにいち早く駆け寄り、声をかけていた。38歳のアタッカーは自身の経験をもとに、後輩をかばった。

「PKを外して、準優勝に終わる悔しさはアメリカで体験した。カップ戦で最後、自分もPKを止められて。どういう気持ちかは分かってはいるつもり。外した人が悪いわけではない」

 3シーズン目を迎えるWEリーグ開幕前の今夏、大きな注目を集めたのが川澄の初参戦だった。2011年の女子ワールドカップ優勝や、12年の北京五輪の銀メダル獲得、女子サッカー大国であるアメリカのNWSLでの豊富なプレー経験など、日本屈指の実績を誇る大物の新潟Lへの電撃加入は話題になった。

 迎えたWEリーグカップで、グループステージから全6試合にスタメン出場してクラブ初の決勝進出に貢献。自身のパフォーマンスに確かな手応えを感じたようだ。

「6試合、全部通して、プレーにムラはそんなにないと思う。やっていて、1試合ずつ、味方が自分のプレーを理解してくれたりとか、自分自身も『この選手には、こういうのが良いかな』というのを理解しながら。1試合1試合、一緒に重ねた」
 

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