無骨でがむしゃら、寡黙な細谷真大の“冷静な眼”。メキシコ戦で圧巻2発「しっかり仕留められている」【U-22代表】

2023年10月15日 松尾祐希

とりわけ素晴らしかったのが1点目

大岩ジャパンでエースの地位を確立する細谷。写真:松尾祐希

[国際親善試合]U-22日本 4-1 U-22メキシコ/10月14日/フェニックス・ライジング・FCスタジアム

 圧巻の2発だった。

 現地10月14日、アメリカのフェニックスで活動中のU-22日本代表は、今遠征の初戦でU-22メキシコ代表と対戦。立ち上がりはやや押し込まれる展開となったが、前線から強度の高いプレスを仕掛けてリズムを掴むと、15分と20分にFW細谷真大(柏)がゴールを奪う。

 以降も日本は主導権を握り、メンバーを入れ替えた後半も試合を優位に進めた。73分にミスから失点したものの、81分にCB鈴木海音(磐田)、82分にFW内野航太郎(筑波大)が加点。終わってみれば4-1の圧勝だった。

 この試合の主役は、チームを勢いづかせる2ゴールを挙げた細谷だろう。

 技術で勝負するタイプではない。ひたむきにプレーし、チームのために誰よりも走る。そして、巡ってきた決定機は絶対に逃さない。チームが発足した昨年3月のドバイカップからエースストライカーとして躍動する男が、特大の存在感を放った。

「チャンスが少ないけど、しっかり仕留められていると思う。今日の試合みたいにチームがしんどい時に決められて良かった」
 
 淡々と自らの得点を振り返った細谷だが、とりわけ素晴らしかったのが1点目のゴールだ。

 立ち上がりはメキシコの圧力に加え、状態が悪いピッチに苦戦した影響で思うようにボールが繋がらない。押し込まれる時間もあり、決して日本のペースではなかった。そのなかで15分に細谷が魅せる。

 高い位置から相手CBにプレッシャーをかけると、ボールを奪ってゴールに猛進。GKとの1対1を冷静に制し、左足でネットを揺らした。

 前線からのプレスがゴールに結びついたが、チームでハメたわけではない。細谷の独断で仕掛けたプレーだった。細谷は言う。

「相手にちょっと余裕がある姿が見えた。なので、自分のスピードを活かしながら(プレスを仕掛けたら)タイミング良く取れた」

 冷静にシュートを決めたことはもちろん、わずかな隙を逃さずに相手から取り切ってしまうプレーは、さすがの一言。 そして、何より見逃せないのが、このプレーの前から相手CBの癖を見抜いていた点だ。

「全体的に足もとで1人剥がすところがあったので、自分が行ってもキープしてくるだろうなと思っていた」

 武骨でがむしゃらなタイプに見えるが、つぶさに状況を観察しながら、今できることを理解していた。そうした"冷静な眼"がもたらしたゴールだったのは間違いない。

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