上田綺世、絶対的エースへの期待感。CLでも貴重な経験を積む25歳は、まだまだ大きな伸びしろがある

2023年10月11日 元川悦子

ドイツ戦では値千金の決勝弾

「点取り屋」にも「ターゲットマン」にもなれる上田。日本のエースFWへと突き抜けられるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 10月のカナダ(13日)&チュニジア(17日)との2連戦に向け、千葉市内でスタートした日本代表合宿も2日目に突入。初日の参加者は10人だったが、10日は南野拓実(モナコ)、伊東純也と中村敬斗(ともにスタッド・ドゥ・ランス)のフランストリオら10人が新たに合流。5対5+2フリーマンのミニゲームなどで実戦感覚を養った。

 この時点で上田綺世(フェイエノールト)や町田浩樹(サークル・ブルージュ)、鈴木彩艶と橋岡大樹(ともにシント=トロイデン)ら6人が合流していなかったため、彼らのカナダ戦の先発出場は厳しくなったと言える。

 となると、1トップは浅野拓磨(ボーフム)か古橋亨梧(セルティック)のいずれかがスタメンだろう。9月シリーズを見ると、古橋はトルコ戦(4-2)に先発しているが、浅野のほうはドイツ戦(4-1)の59分から出場しただけ。今回、浅野が初日から練習に参加していることを踏まえると、コンディションの良い彼がスタートから出る可能性が高そうだ。

 しかしながら、フラットにFW3人を比較した場合、「目下、最前線のファーストチョイスは上田」という評価が一般的になりつつある。というのも、上田は今年の最重要ゲームと位置付けられたドイツ戦で、満を持してスタメン出場。値千金の決勝点をマークしているからだ。

 もともと多彩な得点パターンやシュート力には定評があったが、相手DFを背負って起点を作る仕事に課題があると言われてきた。実際、ドイツ戦でも開始早々にアントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)に背後から激しく寄せられ、倒されたシーンがあった。が、それ以降は相手のギャップに立って当たりを受けないように工夫しながら、ポストプレーに入ろうと試みていた。
 
 上田のチャンピオンズリーグ(CL)デビュー戦となった10月3日のアトレティコ・マドリード戦でも、相手3バックのセンターに位置するアクセル・ヴィツェルに徹底マークされ、さらに右DFのセサル・アスピリクエタにも寄せられるという苦しい局面が見受けられたが、それを体感できるのは最高峰クラブにいるFWだけ。今季にフェイエノールトへ赴いた価値は大きいし、徐々に慣れて自分なりの感覚を掴めるはずだ。

 CL経験という部分は、古橋にも昨季と今季にチャンスを得ているが、彼の場合は敵を背負うタスクは少ない。小柄で俊敏な特性を活かして、背後への抜け出しで勝負することを主に求められている。

 そうなるとやはり代表での仕事は限定的になる。浅野に関してもスピード系で1トップ的な仕事よりは、セカンドトップ的な役割のほうが向いている。

 現状では、やはり「点取り屋」にも「ターゲットマン」にもなれる「万能型FW」は上田ということになる。だからこそ、彼への期待値は日に日に高まっている。本人も上昇気流に乗っている今を逃したくない気持ちは強いはずだ。

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