ジェノア戦の本田はゴールだけじゃない――。「目立つ仕事」と「目立たない仕事」の両立という新たな可能性

2016年02月15日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

「実質的にミランに勝点3をもたらした」との声も上がる。

2月14日のジェノア戦で本田は、5分にバッカ(右)の先制点を演出し、さらに64分には自ら決勝点となるゴールを挙げた。写真:Alberto LINGRIA

 2-1で勝利したジェノア戦(2月14日のセリエA25節)で、ミランの本田圭佑がマン・オブ・ザ・マッチに相応しいハイパフォーマンスを披露。現地メディアは採点で軒並み「7.5」や「7」などチーム最高評価を与え、「実質的にミランに勝点3をもたらした」との声も上がった。
 
 また、ミハイロビッチ監督が「本田には満足しています。かつてのブーイングを最近は歓声に変えている」と絶賛すれば、ガッリアーニ副会長も「久しぶりにゴールが見れたね。素晴らしい選手だ。本田とジャック(ボナベントゥーラの愛称)がミランにバランスを与えてくれる」と上機嫌だった。

【フォーメーション図付き詳細試合レポート】ミラン 2-1 ジェノア

 この日の本田は、キックオフからまさにエンジン全開だった。4分にはボールロスト後の素早いネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)から、こぼれ球を拾い、ほぼノーステップで強烈なミドルシュート。相手GKペリンのビッグセーブに阻まれたとは、ボールはゴールマウス左上の隅をしっかりと捉えていた。
 
 そしてこのシュートで得たCKの流れでは、ゴールラインを割りそうだったボールに必死のスプリントで追い付いて残すと、反転して即座にクロス。これをニアングが頭でスラし、後方にいたバッカの先制点に繋がった(公式記録では本田にアシストは付いていない)。
 
 その後も、ジェノアのマークが緩いこともあり、何度か中央のゾーンで敵2ライン(DFとMF)間に入り込む。26分には右サイドで処理が難しい縦パスを上手く身体を入れてモノにし、ドリブルで中央に切れ込んだ。このシーンを含めて、単純なパスミスもしくはチームメイトと呼吸が合わないシーンが多かったとはいえ、右サイドから中央で上手くスペースに入り込んでくる本田は、ジェノアにとって大きな脅威になっていた
 
 そして64分、得意の左足で決定的な違いを作る。横パスを貰って敵陣中央からフリーでボールを持って持ち上がると、ゴールまで約35メートルの位置で左足を一閃。敵GKの手前でワンバウンドしたボールは、ゴールネットに突き刺さった。
 
 公式戦では昨年8月17日のペルージャ戦(コッパ・イタリア3回戦)以来7か月ぶり、セリエA2014年10月19日のヴェローナ戦以来、実に約1年4か月ぶりのゴールだった。

次ページ指揮官がサイドハーフに求める攻守の仕事を完遂した。

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