【柏】ポルトガル帰りの“新9番”田中順也の覚悟

2016年02月15日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「とにかく結果を出す、ゴールを決める、それが第一目標」

ちばぎんカップではシュート数わずか1本でノーゴールと奮わなかった。試合後、「ふた桁いかないと、なにやってるんだと思います」と悔しさを滲ませた表情で、今季の目標を力強く口にした。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

2月14日、フクダ電子アリーナにて、ちばぎんカップが2年ぶりに開催された。柏は、この千葉県のクラブ同士のプライドをかけた一戦で、J2の千葉を相手に3失点を喫し、0-3で敗戦。ポルトガルからレンタル復帰した田中順也は、後半途中から出場するも目立った活躍もなく、無得点のまま試合を終えた。

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 柏のゴール裏から一際大きな応援が響いていたこの試合で、最もサポーターの期待を背負っていたのは、"新9番"だろう。ポルトガルの名門、スポルティングに2014年に移籍し、1年目こそ7得点とチームの勝利に貢献したが、翌15-16シーズンは、前任のマルコ・シルバに代わって新監督に就いたジョルジェ・ジェズスの構想外となり、出場機会は激減。今季、古巣へのレンタル移籍を決めた。柏復帰後初の対外試合となったちばぎんカップは久しぶりの実戦でもあった。
 
「自分が入って点をとれば追いつける点差だったし、本当にそういう気持ちで入ったんですけど、まだまだですね。個人的にサッカーが下手だなと思った。もっと巧くなりたいと思うし、それがチームのためだし、改善します。そこ(コンディションや試合勘)が一番だと思います。普段なら止められる場面でボールが足につかなかったりと、細かい感覚の違いがすごいある。下手だなと感じた」
 
 久しぶりの出場に、試合勘の欠如を感じたようで、自身に厳しい評価を下した。実際、身体にキレはなく、本調子とは言い難かった。印象に残ったのは鋭い弾道のFKで千葉のGK佐藤優をヒヤリとさせた場面ぐらいで、流れのなかでは強烈な左足のシュートも鳴りを潜め、古巣を勝利に導くことはできなかった。とはいえ、チームもまだ開幕に向けて、準備を進めている過程だ。
 
「まだシーズンが始まったばかりで手探りな感じで、個人が個人で(プレーをしている)って感じだったので。コンビネーションをもっと話し合っていかなきゃいけないと思う。そういう部分では相手のほうがまとまってたし、うちらもこれからだと思います」
 
 本番のリーグ戦へ向けて、コンビネーションの向上を課題に挙げた。千葉を相手にポゼッション率は明らかに上回っていたが、最後のところで守備のブロックを崩し切れず、ゴールを奪うことができなかった。新たに柏のエースナンバーを受け継いだ者として無得点に終わったことは看過できないという心境だろう。
 
「9番を背負ったからには今日点をとらなきゃいけなかった。与えられたチャンスで、結果を出さなきゃ必要とされない。そういう番号だし、早急に自分のコンディションを戻していきたいです。とにかく結果を出す、ゴールを決める、それが第一目標。それがチームのためですし、自分のためですし、FWなのでそれが仕事だと思っています」
 
 海外に渡り、研鑽を積んだストライカーの躍動はチームの上位進出において不可欠だろう。
 
「ふた桁いかないと、なにやってるんだと思います。経験は積んできたつもりですが、積んだにも関わらず、今日なにもできなかった。サッカーは難しいので、『ふた桁』を目指して頑張ります」
 
 9番の重責を担うエースは古巣の勝利のためにゴールを狙い、自身の価値を証明する覚悟だ。

取材・文:多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
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