「確実なことなど何もない」のが事実
VAR検証に時間がかり、アディショナルタイムが極端に多い試合はJリーグでも。(C)SOCCER DIGEST
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)導入で、ジャッジの公平性は増したのか?
控え目に言っても、問題の露出は以前よりも増した。
瞬間のコンタクトのあるスポーツであるサッカーでは、どうしてもグレーの判定がある。ファウルか、ファウルではないか。たとえ動画をスローにしても、全員が全員、白か黒かで言いきれないところがある。結局、主審の主観が入ってしまい、釈然としないものを残す。そこに必要以上に時間がかけられることで、ストレスが増幅するのも当然だ。
第25節、FC東京対ヴィッセル神戸では、PKのシーンでVAR確認に手間取り、10分以上もアディショナルタイムを増やしてしまい、それだけで運用できているとは言えない。
もっとも、審判も気の毒である。
誰もが映像を確認できるだけに、そこに‟それぞれのジャッジが生まれる"。審判は‟衆人環視"のようなプレッシャーの中で、迅速に判断を下さなければならない。映像を何度見返しても、最高の答えを出せないことがあるというジレンマも抱え、出した答えが大きく間違っていたら、一斉に非難を浴びるリスクを背負っているのだ。
【動画】オフサイド判定は妥当? 幻となった久保のスーパーミドル弾
控え目に言っても、問題の露出は以前よりも増した。
瞬間のコンタクトのあるスポーツであるサッカーでは、どうしてもグレーの判定がある。ファウルか、ファウルではないか。たとえ動画をスローにしても、全員が全員、白か黒かで言いきれないところがある。結局、主審の主観が入ってしまい、釈然としないものを残す。そこに必要以上に時間がかけられることで、ストレスが増幅するのも当然だ。
第25節、FC東京対ヴィッセル神戸では、PKのシーンでVAR確認に手間取り、10分以上もアディショナルタイムを増やしてしまい、それだけで運用できているとは言えない。
もっとも、審判も気の毒である。
誰もが映像を確認できるだけに、そこに‟それぞれのジャッジが生まれる"。審判は‟衆人環視"のようなプレッシャーの中で、迅速に判断を下さなければならない。映像を何度見返しても、最高の答えを出せないことがあるというジレンマも抱え、出した答えが大きく間違っていたら、一斉に非難を浴びるリスクを背負っているのだ。
【動画】オフサイド判定は妥当? 幻となった久保のスーパーミドル弾
第24節、神戸対柏レイソルの試合では、神戸のMF齊藤未月がシュートの瞬間に挟み込まれる形で倒れ、膝に重大なケガを負い、全治1年と発表されている。試合ではVARで確認しながら、このファウルにおとがめなしだった。実際は、ジエゴの足が齊藤の左膝にダメージを与えており、審判委員会が「退場に相当した」と後に認めたように"誤審"となった。
このケースはVARで確認したにもかかわらず、適切な判定ができなかったことで、怒りが噴出した。
もしVARがなかったら、おそらくこの判定でもそこまで責められなかっただろう。プレー自体は、流れの中で見極めるのは至難の業だった。もちろん、トップレベルの審判だったら…。
率直に言って、Jリーグの審判はVARを十分に運用するほど優れてはいない。ピッチで笛を吹きながら、同時にVARとも通信し、合わせて決断をするというのは、実はプロセスの難易度を上げている。おそらく、運用するには相応のレフェリングレベルが必要なのだ。
「はっきりとした明白な間違い」
それを糺すのがVARだと言われる。しかしはっきりとした明白な間違い、と言われても、生真面目な人間か、ずぼらな人間か、でその基準は大いに変わる。日本人はどうしても念には念を入れて、となりやすい。それでも映像の鮮明度や角度によっても分からないことがあり、「確実なことなど何もない」のが事実なのだ。
この不安感が影響し、審判のレベルが落ちた印象もある。副審のオフサイドディレイは最たるもので、あからさまなオフサイドを判定できないなら、何のためにいるのか。万一を考えて、思い切って旗を上げられないのだろうが…。
便利は必ず不便を連れてくる。それが文明社会だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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もしVARがなかったら、おそらくこの判定でもそこまで責められなかっただろう。プレー自体は、流れの中で見極めるのは至難の業だった。もちろん、トップレベルの審判だったら…。
率直に言って、Jリーグの審判はVARを十分に運用するほど優れてはいない。ピッチで笛を吹きながら、同時にVARとも通信し、合わせて決断をするというのは、実はプロセスの難易度を上げている。おそらく、運用するには相応のレフェリングレベルが必要なのだ。
「はっきりとした明白な間違い」
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この不安感が影響し、審判のレベルが落ちた印象もある。副審のオフサイドディレイは最たるもので、あからさまなオフサイドを判定できないなら、何のためにいるのか。万一を考えて、思い切って旗を上げられないのだろうが…。
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文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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