【広島】P・ウタカが攻守に順応! J1連覇&ACL制覇へ、さらなる中堅・若手の台頭が鍵に

2016年02月09日 中野和也

周りを活かせるチームプレーヤーの一面を見せるP・ウタカ。

ここまで順調にフィットしているピーター・ウタカ。周囲との連係もとれているようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 気になる点が少し。負傷者が多いことだ。
 
 昨年から故障離脱が続いていた森﨑浩司と川﨑裕大は練習試合に出場できずじまい。1月31日の宮崎産業経営大戦(9-0)でゴールを決めた野津田岳人は右太ももの前部を負傷し、2得点を決めた宮吉拓実も身体に張りが出て、ともにキャンプ終盤は別メニュー。さらに大黒柱の森﨑和幸も足に違和感を覚えて最終日(2月7日)の鹿児島戦(3-1)を回避し、広島の病院で精密検査を受けることとなった。本人は「おそらく大丈夫。酷くなる前に練習をやめたから」と明るくコメントしていたが、いささか心配である。
 
 ポジティブな面も、もちろんある。まず、なによりもピーター・ウタカだ。アフリカ人特有のフィジカルの強さや身体能力の高さばかりが強調されがちだが、ウタカのスタイルは違う。実にスマートで頭がいい。キープ力も確かに高いが、それもフィジカルで押し通すというよりも、技術と知性の高さでボールの置き所やプレー選択のクオリティが高いからこそ。唯我独尊のタイプではなく、周りを生かせるチームプレーヤーで、キャンプ中も佐藤寿人や茶島雄介らとの連係をしっかりと探っている。
 
 鹿児島戦でもDFからボールを奪った後、自ら打つのではなく、相手を引きつけてフリーの茶島にラストパスを通した。自分の欲よりも確率をより高めるためのプレーを選択できるスタイルは、まさに広島向きである。
 
 もちろん、広島対策を講じてくる相手を打破するには、時に強引なプレーも必要だし、ミドルシュートも重要になる。だがフィジカルコンディションが上がってくれば、そうしたプレーも見せてくれるはずだ。
 

次ページ茶島、丸谷、宮原らが鹿児島キャンプで評価を上げる。

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