現地記者が伝える復帰間近の内田篤人「笑顔が戻った“ウッシー”」

2016年02月09日 フランク・レツィンスキ

チームメイトたちは彼と一緒に練習できることを喜んでいる。

昨シーズンのホッフェンハイム戦を最後に、ブンデスリーガのピッチから遠ざかっている内田。止まっていた時計の針は、間もなく再び動き始める。 (C) Getty Images

 2015年3月7日――。内田篤人が現時点で、シャルケのために最後にプレーした日である。
 
 3-1で勝利したこのホッフェンハイム戦で、内田は前半36分にクリスティアン・フクス(現レスター)に代わって出場し、手堅いプレーを見せた。
 
 この時、いや、そのだいぶ前からすでに、内田は痛みを抱えていた。そして、ここから長い苦悩の時が始まった。
 
 しかし今、ようやくそれも終わりに近づいている。
 
【内田篤人PHOTOギャラリー】
 
 今年1月末より、彼はチーム練習に合流しており、非常に良い印象を周囲に与えている。ベスト時のように走り、戦っていることを喜んでいるのは、内田本人だけでない。チームメイトたちも、彼と一緒に練習できることを待ち望んでいたのだ。
 
「"ウッシー"の笑顔を見るのは楽しい。再びグラウンドに立てるようになったことは素晴らしい」とレオン・ゴレツカは喜ぶ。彼は自分自身の経験から、怪我による長期離脱がどれだけ負担になるかを理解している。
 
「ウッシーは苦しい時を乗り越えた。もう重荷からは解放されるだろう」
 
 2年前の7月にテストマッチで左太腿の筋肉を負傷し、長いリハビリを経て前述のホッフェンハイム戦で復帰したゴレツカは、以降は上昇を続け、レギュラーの座を確保するまでに至った。そして彼は今、日本人のチームメイトが自身と同じ道を辿ることを望んでいる。
 
 これに応えるべく、内田は毎日4、5時間をかけて、電気的筋肉刺激によるトレーニングの他、筋肉増強トレーニング、ストレッチなどを集中的に行なっているのだ。
 
 昨夏、シャルケのマネジャーであるホルスト・ヘルトは、内田の離脱期間が長くなることを怖れていた。というのも、彼が痛めた右膝蓋腱の治療については当初、保存療法(手術を行なわない治療法)が用いられる予定だったからだ。
 
 この地道な治療法を推奨したのは、シャルケのドクターたちだけでなく、ドイツ代表ドクターのミュラー・ヴォールファート氏も同意見だった。
 
 しかし内田は、あらゆるリハビリや理学療法を行なっても問題が解決しなかったため、ついに日本での手術に踏み切った。

次ページまだ明確な復帰時期は見えないが、その日はそう遠くなさそう。

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