「惚れ惚れする」森保ジャパンの完成度。しかし固定化が進むと“過去”のように「先細りする恐れがある」【熟練記者の見解】

2023年09月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「戦術的な共有を煮詰めていくよりは…」

優れたタレントを擁する森保ジャパン。ここから進化できるか。写真:サッカーダイジェスト

 カタール・ワールドカップを経て、3月、6月の代表戦でアップデートし、9月にドイツとトルコに勝利。森保ジャパンは「組織的に良いチーム。惚れ惚れします」と熟練記者の河治良幸氏は言う。  

【動画】森保ジャパンの未来予想

 森保体制は実質5年目、ある意味、このタイミングで"ピーク"を迎えているのは当然なのかもしれない。とはいえ、次のワールドカップまで、まだ3年もある。

 チームのピークが早すぎたと言えば、ザックジャパン。2011年のアジアカップを制したあたりは確かな強さと勢いを感じたものの、ブラジル・ワールドカップでは1分2敗でグループリーグ敗退を喫した。

 ザックジャパンが停滞した理由は2つあると、河治氏は話す。

「ひとつは、チームの完成度が高くてパフォーマンスが良いと、メンバーを代えにくくなること。良くも悪くもメンバーが固定され、相手にも研究されてしまう。もうひとつは戦術的に上手くいき過ぎていると、そのまま戦い方も固まってしまう。

ザックさんの時はヤットさん(遠藤保仁)、香川選手、長友選手のところで作って、岡ちゃん(岡崎慎司)が仕留める。加えて、本田さんがアクセントで絡む。それが分かりきってしまっていた。構造ができ過ぎてしまって、3バックを試しても良いパフォーマンスを引き出せなかった」
 
 森保ジャパンも4バック、5バックの両方を試しているが、オプションを含めて固定化してしまうと、「先細りする恐れがある」と河治氏は懸念している部分もある。

 今後大事なのは河治氏曰く「国内の親善試合やワールドカップ予選を戦いつつ、チームの競争をどう膨らませていくか」になる。

「戦術的な共有を煮詰めていくよりは、一旦、新しい素材を入れていく作業をする。チームの完成度が下がったとしてもテストを楽しむ。それぐらいのスタンスで行かないと、先細りする恐れがあります」

構成●サッカーダイジェストTV編集部


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