33年前のアジア大会で“カズ&ラモス”がA代表デビュー! 日本サッカー革命期、伝説はここからはじまった

2023年09月26日 石川聡

【今日は何の日?】1990年9月26日:アジア大会グループステージ初戦、日本vsバングラデシュ戦

1990年アジア大会の日本代表。カズ(後列右から2人目)&ラモス(前列右端)だけでなく懐かしい顔がずらり!写真:山田真市/アフロ

 現在、中国の杭州市では第19回アジア競技大会が開催されており、男子はU-22日本代表、女子は日本女子代表が参加している。かつて、男子は日本代表を送り込んでいたが、1998年にタイのバンコクで行なわれた大会から、2年後のオリンピック出場を視野にU-21日本代表が出場するようになった。今回の杭州大会はコロナ禍で1年延期となったため、U-22日本代表が戦っている。

 このアジア大会にまだ日本代表が出場していた33年前の今日9月26日、中国の北京市で開催された大会で、ふたりの選手が国際Aマッチへのデビューを果たした。それが当時23歳だった"カズ"こと三浦知良と、同33歳になっていたラモス瑠偉。共に読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)の躍進を支えていたコンビである。

 その頃の日本サッカーと言えば、前年の1989年6月に日本サッカー協会がプロリーグ準備検討委員会を立ち上げて後のJリーグ発足に向けた準備ははじまっていたものの、日本代表は不振にあえいでいた。アジアでもトップクラスとは言えず、アジア大会の約2か月前の第1回ダイナスティカップでは韓国、中国、北朝鮮を相手に1点も奪うことができず、3連敗で最下位という屈辱を味わっていた。

 その起死回生の一手として打たれたのが、アジア大会でのカズとラモスの日本代表初招集だった。カズはこの年の7月、ブラジルのサントスFCから読売クラブに移籍したばかり。横山謙三監督は9月26日のグループステージ初戦、バングラデシュとの試合でふたりをいきなり先発で起用。柱谷哲二のPKで7分に先制した日本は、28分にカズのおぜん立てから長谷川健太(現名古屋グランパス監督)が追加点。後半にも長谷川がリードを広げて3-0と快勝した。

 これは日本代表にとって、5-0で大勝した前年6月のFIFAワールドカップイタリア大会・アジア地区1次予選のインドネシア戦以来、約15か月半ぶりの白星。その間、南米遠征でブラジル代表との初対戦で0-1と敗れ、エバートン、マンチェスター・ユナイテッド(共にイングランド)、パルメイラス(ブラジル)、ボカ・ジュニオルス(アルゼンチン)といった一流クラブチームに胸を借りたが、ひとつとして勝利を挙げることができずにいたのである。
 
 カズとラモスの代表デビューで新たな息吹を感じさせたかに見えた日本だが、それでもまだまだアジアのトップクラスとの間には開きがあった。バングラデシュ戦の2日後、アジアカップで2連覇中のサウジアラビアには0-2と完敗。3チームのグループステージを1勝1敗の2位で準々決勝に駒を進めることはできたが、ここでイランに0-1と敗れ、中東の強豪に力の差を見せつけられた。

 しかし、3年後にスタートすることになるJリーグはカズやラモスの活躍もあって軌道に乗り、日本サッカーの実力を押し上げていく。1998年には悲願のワールドカップ初出場。「日本をワールドカップに出場させるために帰ってきた」と読売クラブ加入記者会見で語ったカズ、そしてラモスの本大会出場こそ実現しなかったが、日本代表の飛躍に両者が果たした役割は計り知れない。

 バングラデシュとの試合で初めて代表ユニフォームを身にまとって以来、カズは2000年6月のジャマイカ戦(ハッサン2世杯)まで国際Aマッチ89試合出場、55得点。ラモスは1995年8月のブラジル戦まで同32試合、1得点の記録を残している。

<文中敬称略>

文●石川 聡

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