【ブンデスリーガ】ハノーファーで対峙した3人の日本人選手――分かれた明暗

2016年02月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

戸惑いも感じられる山口、失意の地元ファンを沸かせた酒井。

ドイツのサッカーやハノーファーのスタイルに慣れ、仲間との意思疎通を整えるなど、今後、短期間で山口がなすべきことは少なくない。 (C) Getty Images

 ブンデスリーガ第20節のハノーファー対マインツ戦では、この試合に合わせて調整を続けてきた清武は残念ながら間に合わなかったものの、酒井宏、山口、そして武藤がピッチに立った。
 
【試合レポート】ハノーファー 0-マインツ
 
 今シーズン、1つの試合で日本人選手3人がスタメンに名を連ねたのは、ブンデスリーガではこれで4度目となる。
 
 この3人のなかで注目されたのは、今冬にセレッソ大阪からドイツに渡って来た山口だ。前節のレバークーゼン戦(0-3の完敗)ではスタメン・フル出場を果たすも、地元紙からはチーム最低の評価を下されるなど、苦いデビュー戦となった。
 
 そして迎えた今節、ホームスタジアムに初お目見えした彼は、前節同様に中盤右サイドに就いたが、攻守で周囲と噛み合わず、存在感は皆無に近かった。ボールを得ようとするも無駄走りに終わることが多く、数少ないボールを触れる場面ではミスが目立った。
 
 イージーミスのたびにファンのため息を誘った彼だが、33分、ドリブルする味方(中盤左サイドのベック)と交錯し、ボールを奪われてピンチを招いてしまった際には、大きなブーイングを浴びる羽目となった。
 
 その直後にトーマス・シャーフ監督から交代を命じられた山口。チームに溶け込んでいないだけでなく、中盤右サイドというこれまでとは異なるポジションにも戸惑っているように見受けられた。
 
 地元紙「ビルト」からは最低評価の6という採点を受けてしまったが、山口がドイツで通用するか否かの判断をこの2試合で下すのは公平ではない。就任間もないシャーフ監督が混乱状態にあるチームを整え、攻撃の要である清武が復帰してからでも、決して遅くはないはずだ。
 
 一方、チームが泥沼の6連敗を喫したなかで、右SBの酒井は好印象を与えるプレーを見せた。「ビルト」紙の採点は及第点を示す4だったが、守備では力強いプレーで相手の攻撃を最終ラインで撥ね返す場面が多かった。
 
 最悪のチーム状態のなかでは、なかなか酒井が攻撃参加を見せる場面はなかったが、印象的だったのは前半の終わり頃のプレーだ。
 
 覇気のない攻撃陣にしびれを切らしたのか、彼が粘って右サイドから惜しいクロスを入れ、その直後には見事なスライディングでボール奪取してそのままドリブルで攻め上がった。この試合で初めて、ホームのサポーターが沸き上がり、ピッチに向けて拍手を送った瞬間だった。

次ページゴールはなくとも――多岐にわたる働きで勝利に貢献した武藤。

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