「欧州組を呼ぶ意味がよく分かった」NEC小川航基が森保ジャパンから得た“リアルな刺激”「自分も食い込んでいきたい」【現地発】

2023年09月24日 中田徹

熟練FWドストの加入でスタメン落ちも…

スタメン落ちの窮地もポジティブに前を向く小川。ドストを超える活躍に期待だ。(C)Getty Images

 エールディビジ第5節のPSV戦を0-4のスコアで完敗した1週間後、NECのロヒール・マイヤー監督はたったひとりだけスタメンを変えてホームのユトレヒト戦(9月23日)に挑んだ。外されたのはCF小川航基。代わって先発したのはバス・ドストだった。

 制空権を握ったドストは65分にベンチへ退くまでに1ゴール・1アシストと結果を残し、チームの3-0の勝利に貢献。マン・オブ・ザ・マッチに輝いた。そのドストと入れ替わりにピッチに入った小川は82分、中央から右ハーフスペースに流れてパスを引き出し、強烈なシュートを放ったがGKのセーブに阻まれた(判定はオフサイド)。その4分後には巧みなポストプレーでマッツォンにシュートを撃たせたものの、明確な結果を残すことはできなかった。

「自分の中では『もう代わっちゃうんだ。もうスタメンから外れちゃうんだ』という感覚が正直ありました。PSV戦から外されたのは僕だけだったので…。見ても分かる通り(ドストは)デカくていい選手なので、強力なライバルが来たことを認識しました。しかしストライカーは異質なポジション。リーグ戦34試合でトータル何分出場したかということではなく、34試合でトータル何点取ったかが一番大事なこと。途中出場でもしっかり点を決めれば問題ない」

 そう自分に言い聞かす小川だが、先発から外れた悔しさは隠し切れない。そして「開幕2連続ゴールを決めたのはもう4節前のこと。FWは2、3試合点を決めることができなかったら代えられるポジションかもしれません」と思い知らされた。

「今日のチームの出来を見ると、(小川にとって)ちょっと難しい期間になってくるかもしれませんが、しっかりこの期間をどう捉えるかが大事だと思います。プロに入ってから9年、10年やってきている。人として、プレーヤーとしてどうなっていくかが大事なところなので、ここからだと思います」
 
 オランダとポルトガルのリーグで得点王歴のある元オランダ代表ストライカーのことを、小川はまったく知らなかったという。
 
 3-0で勝利した第3節のRKC戦のこと。後半、ピッチの上に立つ小川は異様な歓声が客席から挙がるのを耳にした。「なにが起こったんだ!?」と驚いた小川が周囲を見渡すと、ドストが肩を回してウォーミングアップしていた。小川はオランダでのドストの評価の高さを認識した。

「聞くとドストはフランクフルトで鎌田大地とやったり、オランダで得点王になったりとか。僕もそう簡単にすべてが上手くいくとは思わずに、オランダに来てます。これがひとつ目の壁…。いや、壁とは思っていません。ここからです」

 小川がピッチに入ろうとした直前にユトレヒトがFKを得たため、ドストとの交代がワンプレー遅くなった。そのFKをドストがヘッドでクリアしただけで、尋常ではない歓声が沸いた。

「今まで積み上げてきたものによって、ドストはみんなの信頼を得ている。僕はそれを塗り替える、じゃないけれど、『このチームで点を取るやつは? それは小川なんじゃないか』という風に見せることができれば、自ずとサポーターの歓声とかが変わってくる。だから、いつでも強気に。(自身のプレーは)悪くはなかったと思っているので」

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