「ワールドクラス」「マドリーは震え上がっていた」古巣戦躍動の久保建英にソシエダ番記者も感服!“マラドーナ級”と絶賛したプレーは?【現地発】

2023年09月20日 ミケル・レカルデ

極悪非道なプレーを見せる勝者のメンタリティ

古巣のマドリーをきりきり舞いさせた久保。(C)Getty Images

 アントワーヌ・グリーズマンはタレントの宝庫、スビエタ(レアル・ソシエダのカンテラの組織の総称)が輩出した最高のタレントの1人だ。いまだに謎なのが、彼が愛したオリンピック・リヨンの上層部が、どうしてこれほどの才能を見抜けなかったということだ。

 身長が低いため入団が認められなかったという話は有名だが、しかしグリーズマンは仮にフィジカルのハンデを抱えていたとしても、その不足分を補って余りある数々の長所を有している。リヨンが直接その脅威に晒されたのが、2013-14シーズンのチャンピオンズリーグのプレーオフだ。グリーズマンはその第1レグで、左足のオーバーヘッドキックで鮮やかにネットを揺らした。

 グリーズマンはその翌シーズン、アトレティコに移籍した後もラ・レアル愛を貫いている。ソシエダのライバルであるアスレティック・ビルバオと対峙するときは、いつも以上にモチベーションを高めてプレーするのもその表れだ。

 ファンの間で語り草となっているのは、その宿敵相手にハットトリックを達成した2年後の2016-17シーズンに敵地サン・マメスで挙げたゴールとその後のシーンだ。1-2の1点ビハインドで迎えた80分、ボックス手前から強烈なミドルシュートを叩き込むと、グリーズマンはカメラに向かってフランス語で「ここは僕の家だ」と叫んだ。
 

 先週日曜日に、同じ雄叫びをあげる機会があったのがタケ・クボ(久保建英)だ。自分の庭となるはずだったサンティアゴ・ベルナベウを訪れ、傑出したパフォーマンスを披露。しかし、チームを勝利に導くまでには至らなかった。くしくもタケは、今シーズンの抱負について次のように述べている。

「昨シーズン同様に重要なピースになること。そのうえでチームが僕の力を必要としている場面で貢献できる選手になりたい」

 グリーズマン同様、タケも身長が低い。10代の頃はサイズのなさを問題視されたことがあったかもしれない。レアル・マドリーの上層部も、たらい回しにした後、昨夏にラ・レアルに放出した際には、「これが最後の賭け」という半ば諦めの境地もあったはずだ。

 その危機感については、まだ若いにもかかわらず、タケ本人も口にしていた。しかしタケは、ラ・レアルのアイドルになった。グリーズマンとの共通点はそれだけではない。モチベーションを刺激される試合では、いつも以上に闘志を燃やして、ある意味、極悪非道なプレーを見せる勝者のメンタリティもその1つだ。
 

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