【指揮官コラム】カターレ富山監督 三浦泰年の『情熱地泰』|目指すのは「立山連峰」のようなサッカーだ!

2016年02月04日 サッカーダイジェスト編集部

「立山連峰」に理想のスタイルを見、「富士山」に故郷の憂いを案ずる。

クラブハウスから撮影した立山連峰。その強烈なインパクトのある美しさに三浦監督もカメラを向けずにはいられなかったとか。

「本物の強さを持つ美しさを感じた」
 
『立山連峰』を友人がそう表現してくれた。
 
 僕が生まれ育った静岡には、日本一の山「富士山」が聳え立つ。
「富士は日本一の山」と歌われるが、子どもの頃から見慣れた「富士山」は大人になってその素晴らしさに気づいた。
 
 しかし、50歳になって初めて目の当たりにした立山連峰には、桁違いの荒々しさを湛えた自然界の造形に、なんとも言えない、言葉に表わせない感動を覚えた。
 
 友人が表現した「本物の強さを持った美しさ」。これが立山連峰とすればカターレ富山が目指すサッカーも、これに近い。
 
 目標は「立山連峰」だ。
 
 まるで有名人の結婚式に使われる『金屏風』のように、晴れた青空をバックにした「立山連峰」は、富山市の象徴だ。そして富山に来てからの2週間、そんな「立山連峰」は常にその姿をくっきりと現わしてくれるわけではない。
 
 曇り空、雨の日、吹雪の日。
「立山連峰」は、その日の天気によって、いろんな顔を持つ。
 
最高の青空を背後に聳え立つ立山連峰が見えたのは、2日間の大雪が止んだ翌日のことだった。
 
 そう簡単には姿をはっきりと見せてくれないのか――。そう思ったら、午前・午後のトレーニングの合間に見られた立山連峰を、思わず携帯でカメラに収めた。
 
 話は変わるが、僕が生まれ育った静岡は、もちろん僕自身が愛する街のひとつだ。「サッカー王国」と呼ばれ日本サッカーを長く引っ張った地域でもある。
 
 そして日本一の富士山に相応しくアマチュアサッカーでは数多くの日本一を達成してきた。
 
 僕の母校である静岡学園をはじめ、清水東、清水商(現清水桜が丘)、藤枝東、浜名と伝統のある学校が高校サッカーを支え、数多くの栄冠を掴んだ。
 
 僕が中学(中体連)時代の頃は、東海大一中や観山中が静岡のサッカーを引っ張った時期だった。
 
 小学生時代には、全日本少年サッカー大会が始まり、初の大会で清水FCが優勝。僕が6年生の時のことだ。
 
 そしてJリーグの発足。清水エスパルスがオリジナル10に入り、翌年、ジュビロ磐田がJリーグに参入。その両チームが富士山の様に日本一を争い、チャンピオンシップで闘いジュビロ磐田が王座に就いた……。
 
 そんな時代を経て、静岡のサッカーが衰退したと言われる昨今である。                         
 

次ページ静岡が「日本一」を取り戻そうと進むなら、我々は「本物の強さを持った美しさ」を目指す。

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