【サッカーダイジェストの視点】韓国に“勝たせてもらった”決勝戦。最高の結果も冷静に見れば課題は山積だ

2016年01月31日 本田健介(サッカーダイジェスト)

67分までは韓国に完全に主導権を握られる。

韓国を相手に2点差をひっくり返す逆転劇を演じた日本。しかし、67分の1点目までは韓国に完全に主導権を握られていたことも事実だ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 浅野の2ゴール目が決まった瞬間、スタジアムが歓声に包まれる。まさに夢でも見ているかのような大逆転劇で日本がU-23アジア選手権優勝を果たした。リオ五輪アジア最終予選を兼ねたこの大会で、日本は6戦全勝と快進撃を見せ、五輪の出場権も無事に確保。下馬評が高くなかった背景を考えても、その"結果"は高く評価されて然るべきだろう。
 
 しかし、決勝戦は大味な展開で、諸手を上げて喜べる要素は少なかったように映る。正直、韓国の自滅に助けられた部分が大きく、後半の早い時間に3点目を奪われていれば、勝負はその時点で決していただろう。
 
 それほどまでに、67分に1点を返すまでの日本は、韓国に大きな実力の差を見せつけられていた。
 
 序盤から日本は韓国のインサイドハーフ、7番のムン・チャンジン、8番のイ・チャンミン、両ウイングの10番のリュ・スンウ、22番のクォン・チャンフン、そして1トップの18番チン・ソンウが織りなす攻撃を止めることができなかった。
 
 開始5分にはいきなりゴール正面でチン・ソンウに前を向かれると、強烈な一発を許し、櫛引が弾いたところをリュ・スンウに決められる。これはオフサイドによって助けられたが、その後も日本のダブルボランチの遠藤と大島は相手のインサイドハーフふたりを捕まえ切れず、最終ラインもリュ・スンウ、クォン・チャンフンに何度も裏を突かれた。
 
 そして20分、左サイドから簡単にクロスを入れられると、チン・ソンウに頭で落とされ、クォン・チャンフンにボレーで打たれる。シュートは岩波の足に当たって軌道が変わり先制点をあっさりと奪われた。
 
結局、前半の日本はシュートらしいシュートを打てず。この苦境に手倉森監督は後半頭から手を打ってくる。2トップの一角のオナイウを下げ、中盤の原川を入れ、4-3-3へシステムを変えたのだ。
 

次ページシステムチェンジは裏目に出たが……。

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