相手を見ながら可変。絶妙な距離感とバランスで背後や逆を取って仕留める。狙い通りだったドイツ戦の先制点

2023年09月11日 河治良幸

「場合によっては4-1-4-1のような形で」

菅原のクロスから先制点をねじ込んだ伊東。(C)SOCCER DIGEST

[国際親善試合]日本 4-1 ドイツ/9月9日/フォルクスワーゲン・アレーナ

 奇跡的な勝利として注目を集めたカタール・ワールドカップのドイツ戦(2-1)から10か月。日本は当時をはるかに上回るパフォーマンスで、ドイツに4-1で快勝した。

 ドイツからすれば、結果的にこの敗戦がハンジ・フリック監督の解任を決定づけたわけだが、日本がドイツと五分以上に戦えた要因は、個人のレベルアップ、そしてチームとしての狙いが整理されてきていることだ。

「できるだけ4バックで相手の探りに対して、そして2列目からの飛び出しも含めて難しい対応を今日はトライしていこうということで、選手たちがチャレンジしてくれました」

 森保一監督がそう語るように、攻撃のスタートポジションは、鎌田大地がトップ下に構える4-2-3-1だが、守備においては前半、ミドルゾーンに4-4-2のコンパクトなブロックを引きながら、ドイツのボールの動かし方に応じて、前からプレッシャーをかけて奪いに行った。

 そして日本ボールになれば、FWの上田綺世と鎌田は縦関係になるが、4-2-3-1が固定になることは選手に求められていなかったようだ。

 ボランチの守田英正は「4-2-3-1だったんですけど、場合によっては4-1-4-1のような形で。大地が結構、外に立ったりしていたので、そこで僕が前に出ないと孤立しちゃうので。そのタイミングで航君が真ん中にポジションを取れば、狙いながら展開できた。ビルドアップの中でそういうポジションニングはできていた」と振り返る。
 
 それが象徴的に表われたのが、11分の伊東純也による先制点だった。センターバックの冨安健洋を起点に鎌田が繋いで、右外から追い越した菅原由勢が上げたクロスに伊東が右足で合わせるという展開だったが、選手の距離感が非常に良く、しかも個人の特長が盛り込まれたゴールだった。
【動画】菅原のお膳立てから伊東がフィニッシュ!
 このシーンでの日本の攻撃は、相手GKのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンにロングボールを蹴らせ、それを日本の大迫敬介がキャッチしたところからスタートしている。

 日本は大迫からセンターバックの板倉滉、菅原と後ろでつなぐ間に、鎌田が右外に流れて、代わりに伊東が通常よりもインサイドにポジションを取った。

 ドイツの守備は4-3-3のゾーンでボールサイドに寄せてくるが、ここから日本は上手く出口を見つけて反対サイドに展開する。

 鎌田、板倉、菅原とつないだボールを、遠藤航が巧みにドイツの守備の合間で受けに行くのに応じて、もう一人のボランチである守田が、アンカーのエムレ・ジャンと右インサイドハーフのフロリアン・ヴィルツの背中を取るようなポジションに移動。左サイドバックの伊藤洋輝が、守田が元々いたところに絞って、遠藤に横のパスコースを作った。

【PHOTO】日本代表のドイツ戦出場17選手&監督の採点・寸評。8人が7点台の高評価!MOMは1G1Aの伊東純也ではなく…

次ページビルドアップはドイツの守備強度に通用

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事