【現地発レポート】中国リーグに選手&監督を「爆買い」されたブラジルのクラブが、まさかの行動に…

2016年01月29日 沢田啓明

若手からベテランまで年齢に関係なく中国に引き抜かれる。

ザッケローニ(中央)を新監督に招聘した北京国安は、欧州移籍の噂もあったR・アウグスト(左端)とラウフィ(左から2人目)を獲得。この2人だけで移籍金と年俸で計26億円近くを費やしている。(C)Getty Images

 年末に寄稿したコラムで、中国のクラブが新旧ブラジル代表の選手と監督を"爆買い"していることをお伝えした。今年に入ってからも彼らの購入意欲はまったく衰えておらず、むしろ勢いを増している。
 
 元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニを指揮官に招聘した北京国安は、移籍金800万ユーロ(約10億5000万円/1ユーロ=132円。以下、同)、年俸600ユーロで現役セレソンのMFレナト・アウグスト、移籍金100万ユーロ、年俸462万ユーロで元代表ボランチのラウフィをいずれもコリンチャンスから獲得した。
 
 また、山東魯能が移籍金1000万ユーロ、年俸430万ユーロでやはりコリンチャンスからCBジウを、そして2部の天津権健までもが移籍金1100万ユーロ、年俸265万ユーロの巨額でサントスから若手FWジェウバニオをさらっていった。
 
 そして、これら新旧セレソンの選手や監督を引き抜かれたブラジルのクラブは、この穴をいかにして埋めるのか――。彼らが見出した解決方法は、比較的安価で能力が高い南米の選手や監督を買い入れること。つまり、ブラジルのクラブが南米市場で"爆買い"をしているのである。
 
 例えば、監督のヴァンデルレイ・ルシェンブルゴとCFルイス・ファビアーノを天津権健に引き抜かれたサンパウロは、元ウルグアイ代表のCBディエゴ・ルガーノ(←セロ・ポルテーニョ)とチリ代表の左SBエウヘニオ・メナ(←クルゼイロ)を獲得し、アルゼンチン人監督のエジガルド・バウサをサン・ロレンソから引き抜いた。
 
 前述の3人とMFジャジソン(天津権健へ)が中国に渡り、CFヴァグネル・ラブもモナコへ移籍したコリンチャンスは、ここまで国内での補強に留まっているが、現在は複数のアルゼンチン人選手との交渉を進めている。
 
 他にもアトレチコ・ミネイロがエクアドル代表のMFファン・カサレス(←バンフィエルド)とCBフリクソン・エラソ(←フラメンゴ)、ウルグアイ人監督のディエゴ・アギーレ(←インテルナシオナウ)を迎え入れれば、ボタフォゴがアルゼンチン人のMFヘルバシオ・ヌニェス(←フニン)とCBホエル・カルリ(←キルメス)、ボリビア代表のMFダミアン・ルシオ(←ボリバル)を獲得し、クルゼイロがアルゼンチン人のMFマティアス・ピサーノ(←インデペンディエンテ)、フラメンゴがアルゼンチン代表のFWフェデリコ・マンクエージョ(←インデペンディエンテ)、インテルナショナウがチリ代表のDFパウロ・マガリャエス(←ウニベルシダ・チリ)を獲得している。

【2016年欧州冬のメルカート】新天地を求めた主な選手

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