“ノットオフサイド”でも得点は認められない!? 名古屋対横浜FC、稲垣のゴールシーンに家本元審判員が私見「警告もあるかな」

2023年09月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

「結果的にゴールキーパーのお腹を蹴ってしまう」

オフサイドか否か。それ以外の論点に家本氏が言及した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 もう1つの論点があった。

 DAZNが配信する『Jリーグジャッジリプレイ』で、9月2日に開催されたJ1第26節・名古屋対横浜FCの22分のシーンが取り上げられた。
【動画】名古屋対横浜FC、稲垣祥の得点シーン
 名古屋の攻撃で、和泉竜司のクロスのこぼれ球を稲垣祥が詰めてネットを揺らすが、副審の旗が上がり、オフサイドの判定に。だがここでVARが介入し、主審はオンフィールドレビューを行なう。

 リプレーで見ると、和泉がクロスを出した瞬間に、キャスパー・ユンカーがオフサイドポジションにいることが分かる。そのユンカーの手前で横浜FCのマテウス・モラエスがブロックし、その後に稲垣がフィニッシュ。主審は映像を確認後、ゴールを認めた。

 論点は、オフサイドポジションにいたユンカーが、守備側競技者にインパクトを与えたのかどうか。

 ジャッジ解説員で元国際審判員の家本政明氏は、「結論からすると、木村主審の下した"ノットオフサイド"が、現状の競技規則の理解では正しいのかなと認識しています」と見解を示す。

「競技規則には、オフサイドポジションにいること自体は罰せられないと明記されています。で、(オフサイドになる場合には)大きく3つあります。プレーしたのか、相手を妨害したのか、利益を得たのか。で、利益は得ていません、プレーもしていません。論点は3つのうち、相手を妨害したと言えるのか。

 横浜FCの選手は、彼(ユンカー)がいたから、そこに行くと思うんです。確かにそうなんですが、ユンカー選手の動きとか位置関係、ボールとの距離とかを考えた時には、どちらかと言うと、その場にただ単にいた。そこに対してディフェンダーの選手が行ったので、オフサイドの反則をユンカー選手がおかしたとは解釈しません」
 
 さらに家本氏は、異なる視点でこのシーンに着目した。

「1つ気になるのは、ゴール方向のアングルを見た時に、稲垣選手が右足で(ボールに)触れる、その後、結果的に左足を振って、ゴールキーパーのお腹を蹴ってしまうんですよね。これを正当なプレーというのか、反則というのか。程度はどれぐらいなの、懲戒罰に該当するの、しないのかっていうのは、もう1つの論点かなと」

 オフサイドではなかったと見ている。一方で、稲垣にその意思はなかったと考えたうえで、「得点かどうかとなった時には、僕は、ゴールキーパーに対するチャレンジが、反則、むしろどちらかと言うと、懲戒罰にも近いと思うので、僕が現場であれば、得点は認めず、稲垣選手に警告の可能性もあるかなっていうのが僕の意見です」と私見を述べた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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