代表招集外も今は気にしない。北ドイツの地で“ニンジャ”町野修斗は成長を続けている【現地発】

2023年09月04日 河治良幸

“ノット・ヒズ・デイ”。好機が訪れるも決め切れず

今夏からドイツ2部キールでプレーする町野。開幕から定位置を掴み、ここまで2得点と着実に存在感を高めている。(C)Getty Images

 ドイツ2部のホルシュタイン・キールで奮闘中の町野修斗。現地9月2日に行なわれたリーグ第5節のパダーホルンとのホームゲームに、3-5-2の2トップで、5試合連続となるスタメン出場を果たす。

 前半に2度のチャンスを決めきれなかった町野は、2-1とリードした85分までプレー。その後もチームはリードを守り抜き、キールは4勝1敗で暫定首位に浮上した。

 最初のチャンスは開始6分に訪れた。ドルトムントからレンタルで来ている18歳のトム・ローテが左サイドを持ち上がりながら、左足で鋭いクロスを送ると、反対側でフリーになった町野はワンバウンドしたボールを胸トラップ。

 そこから右足で打つと見せかけてディフェンスを内側に外し、左足で強烈なシュート。相手GKヤニック・フートの左手をかすめた弾道は右ポストを叩いた。

 その6分後に、CKの流れからクロスをFWロベルト・ライペルツに合わされる形で、パダーホルンに先制されてしまったキールだが、31分、フィン・ポラスのクロスを左サイドから飛び出したローテが合わせて前半のうちに同点に追いつく。

 さらに61分には、高い位置でのボール奪取を起点に、スティーブン・スクリプスキが狙いすましたロングシュートでGKの頭上を越して、逆転ゴールを決めた。

「2点目は、ゴールキーパーもかなり前に出てるイメージはずっとあったんで、まあ(スクリプスキの)シュートがスーパーでしたけど、良い守備から一番良い形というか、一番簡単な形で点を取れた。僕はあんまり、何もしてないですけど」
 
 そう町野はキールの2点目のシーンを振り返るが、町野も含めた連続性のある前からのディフェンスが導いたゴールだった。チームに一体感があり、上位争いに絡むのも分かるキールの戦いぶりだった。

 そのなかで町野は最初のチャンスに続いて、中央で抜け出して1対1から至近距離のシュートを止められてしまうなど、いわゆる"ノット・ヒズ・デイ"に終わってしまった。

 それでも守備では終盤までボールを精力的に追って、パダーホルンの攻撃を規制し続け、9番のベネディクト・ピヒラーとともに前線で深みを取ったと思えば、二列目に下りてチャンスの起点になるなど、湘南ベルマーレで見せてきたような動きをドイツの地でも披露していた。

「逆転できて良かったんですけど、まあ自分は決めれてないんで、もやもやしてます」

 そう率直に振り返った町野だが、2つの大きなチャンスを決めきれなかったことには「こういう日もあるんで、切り替えて、次に活かしていきます」とサバサバしていた。

 やはりチームが勝利できたこと、FWとしてゴールという結果で応えられなかったこと、両方の思いが混ざっているのだろう。

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