インハイ王者・明秀日立の快進撃が励みに。“チャレンジャー”鹿島学園が捲土重来を期す「失うものは何もない」

2023年08月30日 安藤隆人

インハイ予選ではPK戦の末に準々決勝で敗退

1年生MFの清水。この夏に一気に頭角を現してきた注目の逸材だ。写真:安藤隆人

 巻き返しの夏――。

 多くのチームがインターハイ予選、インターハイを終え、各リーグ戦の後期再開、そして最後のビッグイベントである選手権予選、選手権に向けて強化に勤しむこの時期。アディダスカップで気持ちのこもった戦いを見せる鹿島学園からは意地とプライド、そして新たな気持ちを持って一致団結している気概がヒシヒシと伝わってきた。

「明秀日立が全国優勝したことは、僕自身もそうだし、チームとしても良い刺激になった。それでより一層チーム全体として士気が上がったし、もっとやらないといけないという気持ちを全員が本気で持てていると思います」

 こう口にしたのは、鹿島学園の攻撃の中枢を担う3年生MF大貫翼だ。北海道で行なわれたインターハイで、同じ茨城県の明秀日立が1回戦で静岡学園、3回戦で青森山田のプレミアリーグ東西の首位チームを倒す大金星を挙げると、桐光学園との決勝でも激闘を演じ、PK戦の末に初優勝を手にした。

 鹿島学園はインターハイ予選の準々決勝で明秀日立と対戦。延長戦を戦って2-2のドローからのPK戦の末に敗退。ここから明秀日立の快進撃は始まった。この現実に大貫はこう続けた。
 
「ライバルに火をつけてしまったのは事実。この試合の失点は2本のミドルシュートで、いつも球際やシュートブロック、クロス対応などは練習でやっていたのですが、正直そこまでしっかりと意識をしていなかったからこそ、あの試合で詰めが甘くなってしまったり、身体を張るなどの部分が甘くなったりしてしまった。

 そこからチームの意識は大きく変わりました。ミドルシュートを打たせない守備を意識したり、クロスに対する身体の寄せ方、人やボールへの反応を意識したり、甘かった僕らを変えてくれた試合でした」

 大貫自身も、インターハイ予選後にボランチからトップ下にポジションを移してから、より攻撃の組み立てやフィニッシュに意識を向ける一方で、「前から見るからこそ味方の守備の陣形が分かるので、コーチングでスペースを埋めたり、サポートしたりするようになりました」と、ベースとなる守備の部分で全体を見ながら頭を働かせるようになった。

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