WEリーグに電撃初参戦の川澄奈穂美、移籍の舞台裏を明かす。“盟友”上尾野辺めぐみは「日本ならアルビに来てほしかった」

2023年08月27日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

「アルビのサポーターは、いつも凄い」

小学校から高校までチームメイトだった川澄(左)と上尾野辺(右)が新潟で“再会”。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 2023-24シーズンで、創設3季目を迎えるWEリーグ。なでしこジャパンがベスト8に進出した女子ワールドカップが開催された今夏、"大物選手"がアルビレックス新潟レディースに加入した。

 そのプレーヤーの名は、川澄奈穂美。WEリーグの前身であるなでしこリーグ時代には、INAC神戸レオネッサの攻撃の主軸として、リーグ3連覇や皇后杯4連覇などに大きく貢献。その後、女子サッカー界随一の強豪国であるアメリカのクラブで活躍。代表では2011年の女子W杯での優勝など、日本トップクラスの実績を誇っている。

 今回、期待のニューカマーの川澄と、同い年で小学校から高校までチームメイトでもあり、新潟の10番を背負う上尾野辺めぐみによる対談を実施。本稿では、川澄の加入の経緯や、8月26日に開幕したWEリーグカップへの決意などを訊いた。

――◆――◆――

――川澄選手の移籍までの状況を教えてください。 

川澄 アメリカでプレーしていて、今季は、なかなか出場機会がなくて。2022-23シーズンが始まった頃には、「ちょっと、これはチームを変えたほうがいいかな」という気持ちがありました。

 もちろん、チームに残るという選択肢もあったんですけど、選手として「試合に出たい」というのが最優先だったので、夏に向けて移籍先を探そうかな、と。春過ぎぐらいから、探してはいました。本格的に動いたのは6月の末で、本当に"近々"みたいな感じでした。 

 WEリーグでは、次のシーズンに向けて色々と決まったり、各チームが契約選手を発表したり、という時期でした。ヨーロッパや他国でのプレーも考えてはいたんですけど、いろんなことを考えたら、「日本も一つの選択肢」というなかで、オファーをいただいたので。真剣に考えて、アルビレディースに決めました。 

――その時期に上尾野辺選手と連絡を取っていたのでしょうか?

川澄 退団が決まった6月末ぐらいに、「アメリカやめる~」みたいな感じだった気がします。
 
上尾野辺 もちろん来てほしい思いはありましたけど、移籍は選手自身の問題です。ただ、海外も考えていたのでしょうけど、日本でプレーするならば、アルビに来てほしい、という気持ちはありました。

川澄 最初は、多分「ヨーロッパも考えている」みたいな話もしていたと思うので。「また海外に行くんだろう」と思っていたはずです(笑)。結構「なほは、もう日本でやる気ないだろう」みたいな感じで言われていたんですよ。そんなこともないんだけどな、とか思いつつ(笑)。

 海外のチームと話をしているなかで、「あ、日本になりそうだな」という感じで、「WEリーグのどこかになりそう」みたいに言った後ぐらいから、詳しく「環境はどういう感じなの?」といった話をして。で、ちょっと具体的なのかなというのを、感じ取ったのかなっていう気はします。

上尾野辺 当初は「まあ、来ないだろう」という気持ちが強かったですね(笑)。

――川澄選手は、入団挨拶で、新潟サポーターの熱さに言及していました。

川澄 アルビのサポーターは、いつも凄いです。

上尾野辺 うん、うん(笑)。

川澄 私は女子サッカーを盛り上げたいという気持ちがあるので、当然、相手のチームのサポーターが凄かったら、「凄い」という感想も持ちます。INACにいた頃は、INACのサポーターも心強かったです。

 ただ、なでしこリーグで戦っていたら、やっぱり、アルビとかレッズ(浦和L)のサポーターは、ちょっとやっぱり気合が入っていると、いつも思っていました(笑)。
 

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