「琉球というクラブはこの先も続いていく」J3に身を投じた金崎夢生の決心「ベース作りに貢献したい」

2023年08月26日 元川悦子

開幕戦で予期せぬスタート

「同じことをやっていてもダメ」。何かに挑み続けてきた金崎が、今季からJ3の琉球に挑戦の場を求めた。写真提供:FC琉球

 2023年シーズンのJ3を見渡すと、FC岐阜の柏木陽介や宇賀神友弥、愛媛FCの森脇良太、いわてグルージャ盛岡の水野晃樹など元日本代表クラスの30代ベテラン選手が何人かいる。

 彼らがJ3という環境に赴いた理由は人それぞれだ。こうしたなか、鹿島時代に2016年のJリーグチャンピオンシップMVPに輝いた金崎夢生が、昨季限りで大分トリニータを退団し、FC琉球入りしたことに驚きを感じた人も少なくなかっただろう。

 金崎は偽らざる胸の内を吐露する。

「鹿島アントラーズにいた頃を思い返してみると、チームの基盤は長くいた年長の選手たちが作ってくれていたんです。

 当時で言えば、(小笠原)満男さんやソガさん(曽ケ端準)といったベテランの人たちがいて、彼らが作ってきたチームに自分がポッと最後に入っただけ。確固たるベースの中でプレーできたからこそ、僕は活躍できたし、結果も出せた。

 でも、その時と同じ環境はないわけだし、同じことをやっていてもダメなんだよなという思いは自分の中にずっとありました。

 そんな時、琉球から誘いがあったんです。琉球は昨季J2にいたけど、J3に落ちてしまって、再び基盤作りからスタートしなければならない状況だった。そういうチームに自分の経験を還元できればいいし、J3からJ2、J1と上がっていくベース作りに貢献したいという気持ちがあって、今年頭にここに来る決断をしたんです」
 
 だた、いったん落ちたチームを再建するというのは想像以上に難しい。金崎自身も3月4日の開幕・ヴァンラーレ八戸戦の時点では点取り屋という期待を背負い、後半から途中出場。いきなりレッドカードを受けて退場するという予期せぬスタートを強いられた。

 その後も試合には出たり出なかったりで、なかなかゴールやアシストという目に見える結果もついてこなかった。7月からはボランチに転向しているが、劇的に出番が増えているわけではない。そんな彼自身とともにチームも停滞感を打破しきれず、今季はここまでJ2昇格争いに絡めず、足踏みが続いているのだ。

「今は残り15試合というところまで来ていますけど、正直言って、ここからJ3優勝とか2位以内というところまで行くのはかなり難しいだろうなという感覚があります。

 そういうなかでも、琉球というクラブはこの先も続いていく。来年につながるサッカーをやっていくことがすごく大事なんです。

 クラブの最終的な目標はJ1で通用するチームを作ること。たまたま上のカテゴリーに上がれたとしても、すぐ落ちてしまったら本当に意味がないし、確固たる基盤にはつながらない。今は一つひとつの試合に一喜一憂せず、近未来のJ2・J1昇格を見据えたチームを作っていくことを重視すべきだと僕は考えています」

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