まるでホラーショーだ! 英国人記者が見た冨安健洋の“非常に不公平”な退場劇。最初のイエローはハバーツだろ【現地発】

2023年08月24日 スティーブ・マッケンジー

「昨シーズンなら、彼はフィールドに残っていただろう」

クリスタル・パレス戦に左SBで先発した冨安。(C)Getty Images

 8月21日、セルハースト・パークで行なわれたプレミアリーグ第2節のクリスタル・パレス対アーセナルを取材した。
【動画】「誤審」「馬鹿げている」と批判殺到!冨安がイエローカードを受けた2つのシーン
 アーセナルは冨安健洋がスタメンに名を連ねた。しかし、彼は本来の右サイドバックではなく、左サイドバックで先発。ユリアン・ティンベルが負傷中で、オレクサンドル・ジンチェンコは怪我から復帰して間もない。そしてミケル・アルテタ監督がトーマス・パーテイを右サイドバックにコンバートしたからだ。

 本来、アーセナルのスタイルは美しい連係から、完璧なゴールを狙う。リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、シャビを擁したバルセロナや、ジョゼップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティのような記憶に残るフットボールだ。しかし、クリスタル・パレス戦の彼らはそのどちらでもなかった。

 ボールは握るものの、相手のペナルティエリア内で無駄にパスを繰り返す。シュートチャンスは限られた。エディー・ヌケティアには2度の決定機が訪れたが、決め切れなかった。結局、54分にマーティン・ウーデゴーがPKで決めた1点を何とか守り切って、勝利を掴んだ。
 
 この試合で冨安は慣れないポジションながら、見事なパフォーマンスを披露していた。後半のホラーショーが始まるまでは…。

 60分のシーン。冨安はスローインを投げ入れるのが遅れて、遅延行為でイエローカードを受けた。しかし、実際に時間を浪費していたのは、冨安にボールを渡したカイ・ハバーツだった。もし、警告を受けるなら、冨安ではなくハバーツだっただろう。

 さらにその7分後には、相手FWジョーダン・アユーと入れ替わった場面で、後方から倒したプレーで2枚目のイエローカードを提示され、退場となってしまった。どちらも微妙な判定で、冨安は非常に不公平な扱いを受けたと私は思っている。

 しかし、プレミアリーグは今シーズン、遅延行為や時間稼ぎをより厳しく取り締まる方針を示している。昨シーズンなら、彼はフィールドに残っていただろう。いずれにせよ、本人にとっては悔しい結果だったはずだ。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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