ヒュンメルカップで無敗優勝の東京・明法高。中高同時強化がスタートして3年目、新興勢力として着実に歴史を刻み始めた

2023年08月20日 安藤隆人

東村山市にある中高一貫教育の学校

山形で開催されたヒュンメルカップに初出場した明法高。洗練された組織的なサッカーで無敗優勝を飾った。写真:安藤隆人

 8月15日から17日にかけて山形県で行なわれた2023ヒュンメルカップMEISEIサッカーフェスティバル。10回目の開催となった今年は、インターハイ山形県準優勝の山形明正高が中心となって行なわれ、東京の明法高が初出場で初優勝を果たした。

 正直、まったく知らなかった高校だった。だが、この大会で初めて試合を見て、組織として非常に洗練されていて面白い選手もおり、興味を持った。チームを率いる谷口侑暉監督に話を聞くと、新興勢力として着実に歴史を刻み始めているのが分かった。

 その背景を紐解く前に、ヒュンメルカップで見せた彼らのサッカーに言及したい。持ち味は後ろからのビルドアップとショートパスで、相手を集約させてから、ミドルパスやロングパスで局面を変えて打開していくサッカー。

 萩原翔大と小長井虹太のダブルボランチはボール奪取力と展開力に長け、CB池谷那由太もサイズと強さを持つ。なかでも萩原は面白いタレントで、長身ながら足もとも上手く、チャンスと見るや一気に前に仕掛けていく。今後より上のレベルでプレーできる能力を持っている選手だった。

 グループリーグでは今年のインターハイ宮城県予選準優勝の東北生活文化大高に2-0で勝利して好発進を切ると、新潟東を4-0、山形明正を4-2で下し1位で決勝トーナメント進出を決めた。
 
 準決勝で仙台商業を0-0の末、PK戦を制すと、2度目の対戦となった山形明正との決勝戦では、池谷、萩原、小長井を中心にテンポの良いパス回しとサイド突破から、前半だけで3点を先取。後半は山形明正の攻勢に遭うも、1失点で抑えて3-1で勝ち切り、無敗優勝を掴み取った。

 明法は東村山市にある中高一貫教育の学校で、サッカー部の強化を始めたのは2021年のこと。大役を託されたのが、当時26歳の谷口監督だった。

「私が幼少期にサッカーを好きにさせてもらった指導者が、元明法高校サッカー部監督の小笠原春人さんだったという縁もあって、僕が強化初年度からやらせていただいています。このようなチャレンジはなかなか経験させてもらえないことですし、『Make a family』という明確なビジョンを持って、継続してどこに出しても恥ずかしくない選手を育成していきたいと思っています」

 谷口監督は東海大高輪台から東海大を経て、公立中学校で非常勤を務めながら、エリース東京で1年間プレー。その後に非常勤講師を4年続けて、2021年に明法にやってきた。

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