【横浜FC】アカデミーコーチに就任して半年。“選手育成のスペシャリスト” リー・ヘイズ氏が感じた日本の子どもたちの印象「テクニック的に優れたものを兼ね備えている」

2023年08月21日 金子 徹(サッカーダイジェスト編集部)

イングランドの子どもたちと最も違う部分はクリエイティブさ

2月に横浜FCフットボールアカデミーのテクニカルコーチに就任したリー氏。(C)SOCCER DIGEST

 齋藤功佑(現・東京ヴェルディ)、前嶋洋太(現・アビスパ福岡)、斉藤光毅(現・スパルタ/オランダ)らを輩出してきた横浜FCの育成組織である横浜FCフットボールアカデミーは、より質の高い指導とサッカーに集中できる環境の整備に力を入れている。

 その取り組みのひとつとして今年2月、欧州で10年以上にわたって育成年代の指導に携わってきたリー・ヘイズ氏をテクニカルコーチとして招聘した。

 2010年にイングランドのブレントフォードで、パートタイムのテクニック・スキルコーチとして、プロクラブでの指導者キャリアをスタートさせ、その後はトッテナムやクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)、ウェストハムのアカデミーコーチなどを歴任してきた人物である。

 QPRのアカデミーでは現在リバプールに在籍するMFハービー・エリオットや、クリスタルパレスで10番を背負うMFエベレチ・エゼのトレーニングにも関わっていたという。

 就任して半年、プロで活躍できる選手の育成に長けるイギリス出身の指導者は、日本の子どもたちの印象をこう語る。
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「テクニックに優れていて、止める・蹴るの基本技術がしっかりしていますし、一定以上のスタミナを有している子も多いです。ただ、身体の強さやスピードなど、大きく突出した能力を持っている子が多いイングランドに比べると、日本は一定レベルのテクニックを兼ね備えている子が多い印象です」

 さらに、イングランドの子どもたちのほうが優れている部分と強調したのが、クリエイティブさだ。

「例えばマーカーとボールを渡して、練習してくださいと伝えると、イングランドの子どもたちは自然と自分に必要なことを考えて始めますが、日本の子どもたちは、その"考える"ことが苦手なように感じます。もちろん日本にも素晴らしい創造力を持っている子はいるので、あくまで印象ですが」

 そこでリー氏は、イングランドでも実施していた「カオストレーニング」をチームに提案し、早速取り入れた。例えば縦方向と横方向で同時にゲーム形式のトレーニングを行ない、首を常に振って状況を確認しながら判断力を養うというものだ。

「世界で活躍しているような選手を目ざすためには、良いタイミングで良い決断をする、その積み重ねが必要です。クリエイティブさが求められますが楽しいと思いますよ」

 また、同アカデミーの教育ビジョンのひとつである「人間形成」にも賛同する。

「サッカーにおいても人間性の育成が大切です。自分のバックグラウンドを見ても、正直プロになる可能性が低かった子が、人間性を育んだことでプロになれたという事例もあります。自分はまだ少ししか日本語が話せないですけど、コミュニケーションを取りながら交流を深めています」
 

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