「日本のスタイルに恋をしていた」なでしこJを絶賛したブラジル人記者が悔やんだスウェーデン戦の“過ち”。何が足りなかったのか【現地発】

2023年08月19日 リカルド・セティオン

なぜもっと早くできなかったのか!

強豪スウェーデンに屈し、なでしこジャパンは8強で大会を去った。(C)Getty Images

 日本が敗れたスウェーデン戦、立ち上がりの3分間はとてもいいプレーをしていたが、その後は自陣で相手からのプレッシャーを受けるようになってしまった。

 私にはこの時間が日本の選手からどんどんと自信を奪っていったように見えた。スウェーデンは確かに日本よりフィジカルに勝っていたが、そんなチームへの対峙法が分からないなでしこジャパンではない。その証拠に一度は同じような相手、ノルウェーを下している。

 日本のすべての過ちはスウェーデンのペースに巻き込まれてしまったことだ。それが守備のミスをどんどん大きくする。なぜこれが日本の「実力」ではなく「過ち」と思ったのかというと、後半の終盤、日本は試合を完ぺきに支配するようになったからだ。最後の20分間の怒涛の攻めは圧巻だった。

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 日本は前半に放ったシュートは0本だったが、後半頭から左ウイングバックに遠藤純が入ったことで流れが変わった。日本はよりエネルギッシュになり、攻め上がるようになった。なぜこのプレーをもっと早くできなかったのか! それが残念でならなかった。そしてこの「過ち」は日本にとって、高くついてしまった。目覚めた時、残された時間は限られていた。

 PKをモノにできなかったのも残念だった。傷口に塩を塗るようで申し訳ないが、キッカーの植木理子は、W杯準々決勝の2点ビハインドというシチュエーションにおいては蹴るべきではないキックをしてしまった。これほど大事な場面では、リスクのある高いボールを蹴ってはいけない。彼女はもっと冷静になり、リラックスし、確実にゴールマウスに向け、角を狙った低いボールを蹴るべきだったと思う。

 日本はスウェーデンよりボールポセッションは高かったし(51%)、コーナーキックもシュート数も相手より多かった。ゴールバーに阻まれたシュートは3つ。総合すればすべて相手に勝っていたことになる。だが残念ながらサッカーではどんなに良いプレーをしても、それだけでは勝つことはできない。より効率的な試合運びが日本には必要だった。

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