「采配に疑問の声が噴出した」久保建英の交代をソシエダ番記者も疑問視「最も期待ができる選手を...」【現地発】

2023年08月16日 ミケル・レカルデ

タケの活躍は補強選手に対する考え方をも変えてしまった

開幕戦から躍動した久保。(C)Getty Images

 レアル・ソシエダのフットボールディレクターのロベルト・オラベは移籍市場を生き物に例える。その一寸先は闇の世界を強調してのことだが、それが事実だとしても今夏のソシエダは補強の遅れが目立った。

 開幕戦のジローナ戦に出場した新戦力はアマリ・トラオレ1人のみ。アンドレ・シルバは故障で欠場した。現在急ピッチで進めているのは攻撃的MFと左SBの補強だ。前者についてはアルセン・ザハリャンを第一候補にリストアップ。一方、トラオレとポジションが重なるが18年夏に加入したレアル・マドリーで居場所を失ったアルバロ・オドリオソラの復帰にも動いている。

 確かに目下、4シーズン連続で欧州カップ戦の出場権を獲得しているソシエダはチームのベースが出来上がっているという強みがある。今夏のチーム作りのテーマも継続路線を掲げており、この現有戦力の充実は、補強の遅れのアリバイにはなる。

 そのチームの主役を担っている1人がタケ・クボ(久保建英)であることに異論はないだろう。この日本人選手はわずか1年でステータスを大きく向上させた。それはチームの上位を占めるユニホーム売上枚数が裏付けてもいる。タケの活躍は、また補強選手に対する考え方をも変えてしまった。

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 昨シーズン終了後に行なった記者会見でオラベは「良い補強選手とは何か?」と問いかけるや、「ではタケは良い補強選手だったのか?多くの人間は我々がミスを犯していると考えていた。答えは彼のパフォーマンスを見れば明らかだ」と畳みかけた。

 オラベが主張しているのは、獲得した当初、懐疑的な視線を向けられていた新戦力が1年後にチームの中心選手になったという事実だ。実際、そのインパクトは絶大で、今夏、説得力に欠ける選手の獲得が浮上するたびに、「タケを獲得したときは何を言っていたんだ」と擁護する声がどこからともなく聞こえる。

 そんな空気感に包まれているため、ジローナ戦で、タケがスタメンで出場するのは暗黙の了解だった。日本代表の活動を経てシーズンオフに入った関係で、チームへの合流が遅れたが、開幕前最後のテストマッチとなったベティス戦では、昨シーズン、終盤定着した右サイドでキレキレのドリブルを披露。仕上がりの良さを印象付けていた。

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