【セリエA現地コラム】「ゼロトップ・システム」の生みの親。5年半ぶり復帰のスパレッティはローマをどう変える?

2016年01月21日 片野道郎

トッティの「ゼロトップ」を発案した名将が復帰。

就任初戦のヴェローナ戦は、トッティ(右)に出場機会を与えなかったスパレッティ(左)。今後の起用法に注目が集まる。(C)Getty Images

 ローマがついに監督交代に踏み切った。
 
 開幕からの2か月はインテル、ナポリと首位の座を争っていたものの、11月24日にチャンピオンズ・リーグ(CL)でバルセロナに1-6の惨敗を喫したあたりから調子を崩し、その後のリーグ戦6試合でわずか1勝(4分け1敗)。
 
 コッパ・イタリアではセリエBのスペツィアにPK戦で敗れてベスト8進出を逃すなど消化不良の試合が続き、リュディ・ガルシア監督はサポーターからの厳しい抗議に晒されていた。
 
 それでも、12月20日のジェノア戦で1か月半ぶりの勝利(2-0)を収め、一度は解任の危機を免れたかに見えた。
 
 しかし年明けの2試合でキエーボとミランに引き分け、首位ナポリから7ポイント差の5位まで順位を下げるにいたって、シーズン途中の監督交代に消極的だったジェームズ・パロッタ会長もついに決断を下さざるを得なくなった格好だ。
 
 新監督に招聘されたのは、5年半ぶりの古巣復帰となるルチアーノ・スパレッティ。
 
 前回、2005-06シーズンから足かけ5シーズン(09-10シーズンは開幕2連敗で早々に辞任)にわたってチームを率いた時には、フランチェスコ・トッティを4-2-3-1の最前線に据えた「ゼロトップ」フォーメーションを編み出して、セリエAで2位3回、CLで8強入り2回というクラブ史上に残る好成績を挙げた。
 
 10年末から率いたロシアのゼニト・サンクトペテルブルグでも、4シーズンで2度のリーグ優勝を勝ち取ったイタリアきっての名将のひとりだ。
 
 13-14シーズン途中(14年3月)にゼニトを解任された後は、ミランやユベントスをはじめ複数のクラブで監督就任が噂に上ったものの合意には至らず、2年近くにわたって浪人生活が続いていた。
 

次ページ初戦からスパレッティの狙いが明確に表われていた。

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