「記者のポリシーがありますよね?」上田綺世がフェイエノールト入団会見でまさかの逆質問! 滲み出た“動き出しの極意”への矜持【現地発】

2023年08月08日 中田徹

「指揮官にとって理想のストライカー」の触れ込みも

フェイエノールトの入団会見に臨んだ上田。(C)SOCCER DIGEST

 上田綺世のフェイエノールト入団記者会見が現地8月7日、スタディオン・フェイエノールトで行なわれた。過去に小野伸二(現・札幌)、宮市亮(現・横浜)も所属したオランダの名門で、日本人がプレーする意義はなんなのか――と、オランダ人レポーターが訊いた。
【動画】フェイエノールト公式! 上田綺世の入団会見ハイライトをチェック!

「フェイエノールトは歴史があります。ヨーロッパのビッグクラブでプレーすることは日本人の夢のひとつでもある。そこでプレーすることは、選手として大きな価値があると思います」
 
 歴史、ビッグクラブ、チャンピオンズリーグといったことに加えて「熱心に、継続的に僕のことを求めてくれたこと」がフェイエノールト移籍の決め手になったという。
 
 オランダのメディアは微に入り細に入り、セルクル・ブルージュ時代の上田のことを分析している。その得点力、DFライン背後への飛び出し、勤勉なプレッシングと強度の高さに「プレッシングサッカーを標榜するアルネ・スロット監督にとって理想のストライカー」と解説する動画も配信されている。

「僕が守備的な選手だという自覚はない。でもセルクル・ブルージュがそういうサッカーをしていて、そこを評価してもらえたのはヨーロッパに来て成長したところだと思います」

 会見で上田は「ヘディングが武器」と話していた。欧州のストライカーとして182センチという高さはやや小さい部類。それでも昨シーズン、助走なしのスタンディングジャンプでCBに難なく競り勝ち、地面に叩きつけるヘディングシュートでゴールネットを揺らしたシーンは「えげつない」の一言だった。
 
 彼の武器はもうひとつ、DFライン背後への動き出しだ。日本で彼のプレーを見てきた者にとっては当然のことだろう。今ならセルクル・ブルージュのチームメイトも納得しているはずだ。

 しかし1年前、ベルギーに来た頃は、セルクル・ブルージュの仲間たちに"動き出し"という武器を理解してもらえず、「ここぞ!」のタイミングでパスを受けることができなかった。チームミーティングで監督が映像を見せながら「ここで綺世にパスを出せば、GKと1対1じゃないか」と助け舟を出し、徐々に仲間とオートマティズムを作り上げていきながら、いつしか上田はベルギーリーグ屈指のストライカーへと進化を遂げた。
 
「自分の特徴を見せていかないと、(フェイエノールトで)どういう選手なのかというのを理解してもらえない。"動き出し"って、なかなか表現しづらいですけれど、それを繰り返して継続していく。セルクルでもそういうような作業をしていたんです」

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