なぜ名門・国見は全国4強へと躍進できたのか。“凄くねちっこい”堅守で大会5試合を無失点で切り抜けた【総体】

2023年08月04日 森田将義

「点が取れる、取り切れるチームを冬までに作りたい」

惜しくもPK戦で涙を呑んだ国見(手前)。伝統の堅守は健在で、全試合を無失点に封じ込んで大会を後にした。写真:森田将義

 ここまで勝ち上がると想像していた人はいただろうか。

 5回のインターハイ優勝を誇る名門・国見(長崎)。夏の全国大会出場は実に12年ぶりで、県予選も準決勝、決勝はPK戦の末に掴んだ辛勝であり、決して前評判が高いチームではなかった。ところが、いざ大会がはじまると力強い勝ち上がりを続けて、ベスト4にまで躍進したのである。
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 快進撃を支えたのは、5試合を無失点で切り抜けた堅守だ。「相手の特徴をできるだけゲームの中で掴んでいくか。そこに対して、チーム、またはグループでどう対応するかを春から積み重ねてきた」と口にするのは、木藤健太監督だ。最初は慣れない全国大会の舞台に緊張もあってどこか自信なさげだったが、1回戦で初芝橋本(和歌山)に1-0、2回戦で帝京五(愛媛)に2-0で勝利すると、徐々に選手たちが自信を掴んでいき、守備の強度が高まっていった。

 迎えた準決勝の桐光学園(神奈川)戦。相手チームが擁するMF松田悠世(3年)と齋藤俊輔(3年)の両翼は今大会屈指の実力者で、一度ボールが渡せば簡単には止められない。「試合前からサイドバックが蓋をし、サイドハーブをプレスバックさせるなど人数を掛けた守備を意識していました」と主将のDF平田大耀(3年)が明かした通り、国見はイメージのままに相手の生命線を封じていく。
 
 万が一、ゴール前に持ち込まれても、平田らDF陣が身を投げ出してでもシュートブロックに行く。その粘り強さを見ていると、エースのFW中山葵(3年)の言葉が腑に落ちる。「国見は凄くねちっこい。ゴール前ではみんなが身体を張れているし、それを何回も繰り返せる」。

 この日も堅守を継続したまま、35分ハーフの前後半を終えたが、得点が奪えずPK戦に突入。ここでの戦いは4-5で敗れて、無失点のまま大会を去った。木藤監督は「勝ち切るチームになるには、点を取っていかないといけない。そのチャンスをウチが作り出せたかと言うと、1回ぐらいだったと思う。点が取れる、取り切れるチームを冬までに作りたい」と前を向いた。

 北海道の舞台で国見が見せた姿は称賛に値する。

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