「『国見復活』と言われたのですが...」抜本的な変革をもたらした指揮官・木藤健太。インハイ4強も「驚きはない」【総体】

2023年08月02日 安藤隆人

丸刈り廃止、スマホ解禁

PK戦を制して4強入りを果たした国見。ここまでの4試合すべて無失点と、強固な守備は武器の1つだ。写真:安藤隆人

[インターハイ準々決勝]国見 0(3PK2)0 矢板中央/8月2日/カムイの杜公園多目的運動広場B

「私が国見の監督に就任してから、ずっと県内で勝てなくて、ようやく県内の壁を破ったのが昨年度の選手権でした。本大会ではベスト16に進んで、そこで『国見復活』と言われたのですが、僕の中ではベスト16ではインパクトがないと思っていました。じゃあ、もっと上を目ざすにはどうしたらいいかを考えてやってきました」

 13年ぶりの出場となったインターハイで、準々決勝の矢板中央戦をスコアレスドローからのPK戦で勝利し、ベスト4に駒を進めた直後、木藤健太監督は表情を変えずに、冷静にこう口にした。

 2018年に名門・国見の再建を託されて監督に就任した木藤監督は、OBとして国見の隆盛期を知る存在。就任時は全国から遠ざかっていたチームを再び、ひのき舞台に引き上げるために試行錯誤を始めた。

 国見の象徴である丸刈りを廃止し、禁止していたスマートフォンの使用も時間を限定してOKにした。当然、周囲からは賛否両論が挙がったが、「全国大会から長く遠ざかっていたにもかかわらず、伝統ばかりを守っている気がしたんです。『強豪』という変なプライドだけが残っているように感じたので、そこは変えるべきだし、多様化の時代に合わせるべきだと思った」と、抜本的な変革をもたらした。

 サッカーもボールを保持しながら前進するスタイルを標榜する一方で、「戦う、大きな展開で局面を変えられる、守備の固さ、ハードワークなど、国見として大事なものは継続しないといけない」と、温故知新の精神でチームを強化してきた。

 そして昨年、ついに12年ぶりとなる24度目の選手権出場を果たすと、ベスト16へ進出。ここで青森山田にPK戦の末に敗れたが、この躍進は名門復活を印象付けた。
 
 しかし、木藤監督はこの時、「逆にここからが重要。一過性になってはいけない」と地に足をつけて、これまで通りの姿勢で強化に臨む覚悟を固めていた。

「サッカーは相手がいるスポーツ。重要なのは、自分たちがやりたいことと、できることをきちんと考えて、その要素をゲームの中で見つけ出して、自分たちの優位性はどこにあるのかを見ながら、攻撃や守備の糸口を見出していくこと。

 そしてチャレンジする姿勢を持って、チャレンジとボール保持のバランス、個とグループをもっと関連づけていくことを意識しました」

 木藤監督は、試合中に選手たちが凌ぐところと仕掛けるところの判断の共有や、ボール保持ばかり考えるのではなく、積極的なチャレンジと素早い攻守の切り替えなどをチームに徹底して植えつけた。

 一歩一歩、着実に進んで行ったチームは、長崎県リーグ1部では8勝1分の負けなしをキープ。インターハイ予選でもPK戦での勝利を重ねて、13年ぶり21回目のインターハイ出場を果たした。

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