地元・旭川実が強豪・帝京長岡を振り切って16強入り! ホームの“熱狂的な声援”を受けていざ市船撃破へ【総体】

2023年07月31日 森田将義

観衆1600人が生み出す“完全アウェー”の空気感

電光石火の3ゴール選手で試合を優位に進めた旭川実。写真:森田将義

 北海道を舞台に30競技が実施されている今年の全国高校総体(インターハイ)。男子サッカー競技は北海道第二の都市、旭川市で開催。そのため、北海道からは従来の2チームに開催地代表チームを加えた3チームが出場している。

 例年よりも全国大会出場の難易度は低めに感じるかもしれないが、旭川実の富居徹雄監督は「プレッシャーはありました」と振り返る。前回の北海道インターハイにおける男子サッカー競技は室蘭開催だったが、地元の室蘭大谷(現・北海道大谷室蘭)は予選で敗退。"今回こそ旭川開催だから旭川実に出てほしい"といった周囲の期待は耳に入っていた。

 道予選で接戦をモノにし続けて、掴んだ地元インターハイの出場権。"絶対に出なければいけない"と感じていた周囲の期待は、チームの大きな力になっていく。初戦の会場となった東光スポーツ公園球技場は学校から車で20分ほどの場所にあるグラウンド。仲間を応援しようとインターハイ出場を間近に控えた女子バレーボール部、バドミントン部の選手などを除いた800人以上の生徒が応援に駆けつけた。保護者やOB、地元関係者を合わせた観客の数は1600人。ピッチの周りをぐるりと囲い込んだ光景は完全にホームゲームのそれで、控え部員が陣取ったゴール裏の熱量はJクラブと見違うほどだった。

 迎えた初戦(2回戦)の帝京長岡(新潟)戦。声援に背中を押された選手たちはキックオフと同時に勢いよく試合に入り、前半13分にはFW和嶋陽佳(3年)の左クロスから、MF鵜城温大(3年)が先制点をマークする。応援のボルテージも高まり、会場の雰囲気を完全に旭川実一色に染めると21分、35+2分にも鵜城が連続ゴールを叩き込み、一気に3点差まで引き離した。
 
 対する帝京長岡も旭川開催で全校応援があるのは聞き及んでいた。「日の丸を背負って海外に行かないと完全アウェーという試合は経験できない。日本の中ではアマチュアが経験できることではないので、これは自分たちが成長できるチャンスだからね。ありがたく受け入れて、この舞台で思い切り暴れようと追い出し方をした」。そう振り返るのは谷口哲朗総監督だ。

 前半は積極的な姿勢を示せなかったが、大量リードを許して気持ちが吹っ切れた後半は持ち前のパスとドリブルを巧みに使い分けるスタイルで、旭川実を押し込み、後半6分には1点を返した。

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