【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「ミランと本田の溝はますます深まっている。あるいは“終末”も……」

2016年01月08日 マルコ・パソット

ベルルスコーニの怒りは最高潮に達している。

新年最初のゲームは、残留争いをしているボローニャに0-1で敗戦。ミランはどうも波に乗り切れない。(C)Getty Images

 2016年の幕開けは、ミランに新たな嵐をもたらした。予期せぬ今シーズン最大のタイフーンだ。そのショックで2015年最後のほんの少しの好調など、即座に吹っ飛んでしまった。
 
 年末、ミランはコッパ・イタリアのサンプドリア戦、セリエAのフロジノーネ戦に連勝した。どちらも目標である欧州カップ戦出場権獲得に向けて重要な勝利だっただけに、ウインターブレイク後もミランは続けて落ち着いた雰囲気の中で好パフォーマンスができると思われていた。
 
 しかし、そう一筋縄ではいかないのが、今シーズンのミランだ。チームが良い方向へ進むチャンスが訪れても、決してそれをモノにできない。上昇する運気に乗り損ねたのはこれで実に4度目。「このミランは決して調子を上げることができない」と白状したも同然だ。
 
 新年最初の試合、15位に沈むボローニャとのホームゲームをミランは0-1で落とした(試合レポートはこちら)。それは全てを圧潰す大きな雪崩のようだった。
 
 雪崩の第一の犠牲者は、シニシャ・ミハイロビッチ監督だ。このセルビア人指揮官はまたも解任に限りなく近づいている。いま彼とミランのベンチは糸一本で、どうにか繋がっているようなものだ。それも今回は蜘蛛の糸のように極めて細い。
 
 もし今後の試合日程がこれほど過密でなければ(1月9日にローマ戦、13日にコッパ・イタリアのカルピ戦、17日にフィオレンティーナ戦)、ボローニャ戦の直後にミハイロビッチのクビは飛んでいたろう。つまり次の3試合の結果ですべての審判が下されるはずだ。
 
 ただ、ただ敵地オリンピコでローマに負ければ、カルピ戦まで待たずして首を宣告されるだろう。オーナーのシルビオ・ベルルスコーニの怒りが最高潮に達しているからだ。
 
 ベルルスコーニが怒っているのは、その順位に対してではない。今のこの時期ならば、6位という順位は十分に巻き返せる。我慢ならないのは、ミハイロビッチ・ミランがまるで進歩を見せないからだ。複雑にこんがらがってしまった紐をどこから解いたらいいのか、監督はじめ誰にも分かっていない。
 
 また、サン・シーロのサポーターも同じように怒り心頭だ。夏に9000万ユーロ(約126億円)を補強に費やしてもその成果を出せない監督に、自分の影さえも恐れるかのように戦々恐々とプレーする選手に、最終局面になって合意への道筋が見えていないクラブ株式譲渡に、それに伴い冬のメルカートでまた財布の紐を占めようとしているベルルスコーニに、誰もが業を煮やしている。

次ページ本田の発言は今回も穏便に処理されようとしている。

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