仙台の韓国出身FWホ・ヨンジュン、J2後半戦初戦でようやく移籍後初ゴール。苦しみ抜いたストライカーが見せた“ヨン様スマイル”

2023年06月26日 小林健志

「本当に苦しい時間を過ごしました」

徳島戦で移籍後初ゴールを挙げたホ・ヨンジュン(88番)。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[J2第22節]仙台1-1徳島/6月25日/ユアテックスタジアム仙台

 外国籍選手はすぐチームにフィットできる選手と、フィットに時間がかかる選手に分かれる。鳴り物入りで入ったストライカーでありながら、半年ゴールがないという状況は獲得したチーム関係者だけでなく、選手自身も非常に苦しい心境であろう。

 今シーズン、J2仙台に加入したFWホ・ヨンジュンは昨季、韓国Kリーグで10ゴールをマークし、エースストライカーとして大きな期待がかけられていた。

 ところが、開幕当初はスタメンで出場していたものの、ポジショナルプレー、立ち位置を重視する伊藤彰監督の戦術にうまくフィットできず、なかなかゴールに絡む活躍ができなかった。徐々にベンチスタート、ベンチ外の試合も増え、一時期は途中出場するとイライラを抑えきれず、ファウルで警告を受けてしまう試合もあった。かくしてJ2前半戦は主に途中出場での11試合出場にとどまり、ノーゴールに終わった。

 しかし、変化の兆しは6月18日の第21節・山口戦で見られた。この試合は0-2で敗れたものの、後半頭から途中出場し、惜しくもゴールとはならなかったものの、これまでよりゴール前で決定的な場面を作れるようになっていた。
 
 そして、25日の第22節・徳島戦で19試合ぶりにスタメンの座を勝ち取った。そして28分、MFエヴェルトンからパスを受けたMF松下佳貴が、前線へスルーパスを出す。これに反応したのがホ・ヨンジュンだった。

「僕が好きなボールが入ってきたのですが、佳貴選手はああいったパスを出せる選手なので、アクションしてボールが入った時、切り返したのですが、思ったより相手がなびかなかったので、もう1回切り返してシュートを打ちました」と振り抜いたシュートが、仙台移籍後初ゴールとなった。

「とても素晴らしい仙台サポーターの前でゴールを決められてすごく嬉しいです。初ゴールがアウェーではなくホームなのが嬉しいですね」と仙台サポーターの熱狂的な応援の前でゴールを決められたのを喜んでいた。

 加入から約半年間、ゴールを挙げることができず、「本当に苦しい時間を過ごしました。ゴールを決めた時、今まで苦しかったことを思い出して、涙が出ました」と語る。

 なかなか起用してもらえない時期もあったが、「チームメイトとだんだん連係が深まってきました」とようやくチームにフィットし、チームメイトのプレースタイルや性格などが分かってきたことで、少しずつプレーに手応えが生まれていったという。
 

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