久保、上田、旗手の躍動で競争が激化。前線&中盤は2チームを作れる充実の陣容。対アジア、対強豪国で“使い分け”も可能だ

2023年06月21日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

守田か遠藤を選ぶのは贅沢

(奥の左から)久保、上田、旗手(19番)らの台頭で日本代表の競争は激化している。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 森保ジャパンは、6月シリーズを2連勝で終えた。6-0で大勝したエルサルバドル戦は開始3分で相手が退場者を出したため、参考にしづらいという声もあるが、それまでにセットプレーから先制点を奪い、レッドカードに繋がるPKも獲得した点、最後まで攻撃の手を緩めなかった点は評価できる。

 2戦目はスタメン6人を入れ替えながら、苦手にしてきた南米勢のペルーに4-1で快勝。エルサルバドルとはワンランク上の相手にもゴールラッシュを飾った。

 今シリーズでは2試合とも4-1-4-1(4-3-3)を採用したなか、とりわけ中盤より前の充実ぶりは目を見張るものがある。

 まず、1トップでは上田綺世がエルサルバドル戦で待望の初ゴールを奪取。レッドカードを誘発するPK獲得に、得点に繋がるポストプレーと本格派の9番としてCFの軸になっていく期待を抱かせた(右足の怪我のため、ペルー戦の前に離脱)。

 さらに、昨年9月以来の選出となった古橋亨梧もエルサルバドル戦でヘディングシュートを叩き込み、代表では約2年ぶりのゴールを奪った。ペルー戦では不発に終わったものの、動き自体は悪くなく、今後も招集されるのではないか。

 さらに、カタールワールドカップでファーストチョイスだった前田大然も、先発なしの悔しさを晴らすかのようにペルー戦でダメ押し点。一方で、カタールではドイツ戦のゴールでヒーローとなった浅野拓磨の序列は下がったようだ。

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 左ウイングは、カタールではスーパーサブだった三笘薫が、ブライトンでの経験を経て、替えの利かないエース格に成長。バックアッパーの中村敬斗もエルサルバドル戦で代表初ゴールを決めるなど、キレのあるプレーを連発した。さらにはセルティックではここが主戦場の前田や今シリーズでは右SBでプレーした相馬勇紀も控えている。

 右ウイングはそれこそ熾烈だ。レアル・ソシエダでMVP級の働きをした久保建英は好調そのままにエルサルバドル戦で1ゴール・2アシスト。ペルー戦で鋭い突破で見せ続けて1得点の伊東純也も健在で、エルサルバドル戦では右のインサイドハーフで1ゴールを挙げた新10番の堂安律もいる。

 インサイドハーフでは、エルサルバドル戦では1年3か月ぶりに出場した旗手怜央が驚異的な運動量で攻守にハイパフォーマンスを披露。ペルー戦では鎌田大地が2ゴールを演出するハイレベルなプレーを見せた。さらに、前述した堂安、ペルー戦で途中出場の守田英正、怪我で離脱中の田中碧もおり、競争は激しい。

 そしてアンカーはエルサルバドル戦では守田、ペルー戦で新キャプテンの遠藤航がそれぞれさすがの存在感を発揮した。どちらかを選ぶというのは、贅沢な悩みだ。

 今後は、日本が押し込む形が多くなるアジアでの戦いでは、ボックス内で勝負できる上田や狭いスペースでの突破や連係した崩しが可能な久保を起用し、格上の相手にはカウンターやプレッシングで力を発揮できる伊東や前田をチョイスするなど、相手に応じたスタメン選びが可能となる。

 2チームを作れる陣容を、森保一監督がどう使いこなすのか。9月のドイツ戦での采配に注目したい。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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