左SBを活かし、活かされる三笘薫の特性。中山が戻れば、森下と伊藤をブレンドしたメカニズムが生まれるかもしれない

2023年06月21日 河治良幸

メカニズムの変化は明確だった

ビッグスターの資質がある三笘。間違いなく第二次森保Jの確固たるキーマンだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 4-1 ペルー/6月20日/パナソニックスタジアム吹田

 森保一監督が率いる日本代表はエルサルバドル代表に6-0、ペルー代表に4-1と、ホームでの親善試合ながら2連勝。今後に向けて明るい材料が多い6月シリーズとなった。

 2試合とも4-1-4-1で戦い抜いたが、興味深かったのが選手の組み合わせによるメカニズムの変化だ。

 第二期となる森保監督はカタール・ワールドカップの反省を踏まえて、意図的なビルドアップとショートカウンターの使い分け、自分たちが主導権を握るための明確な設計などを導入しているなかでも、選手の特長と組み合わせで変わってくるのはいかにも代表チームらしい。

 中盤はエルサルバドル戦のアンカーが守田英正、ペルー戦が遠藤航で、左右のインサイドハーフとの関係性も違いが見られたし、右サイドハーフも久保建英がインサイドの堂安律と組んだエルサルバドル戦、伊東純也がスタメン起用されたペルー戦では同じチームと思えないぐらい、機能性が変わった。

 そうしたなかでも特に興味深かったのが、左サイドで2試合続けてスタメン出場した三笘薫と左サイドバックの関係性だ。

 エルサルバドル戦は森下龍矢が、ペルー戦は伊藤洋輝が縦のコンビを組んだが、左インサイドハーフが同じ旗手怜央だったこともあり、左サイドバックが替わることでのメカニズムの変化は明確だった。
 
 森下は「三笘選手がボールを持った時は(外側を)回れるように、常に準備をすることを心がけた。全部を回ろうと思っても回りきれないので。僕が回れない時は単騎で行ってもらって。回れる時はもう僕と2人で崩すと、そういう心がけでやってました」と振り返る。三笘もペナ幅の少し外側にポジションを取りながら、大外のレーンは森下に使わせるようにしていた。

「インサイドに絞るのはもっと上手い選手がいると思うし、むしろ三笘選手を活かすというより、活かしてもらうぐらい大外、大外で。そういうオプションの1つとして僕が存在している」

 そう語る森下は三笘を何度も追い越すことで、相手のディフェンスを外に開き、三笘のカットインに対応しにくい状況を作り出そうとしていた。三笘と森下の間から左インサイドハーフの旗手が抜け出してチャンスになったシーンなど、面白いオプションも見られた。

 一方でペルー戦の伊藤は「薫君が持った時に無理に行かずに後ろに構えて、失った時に行きやすかったし、前向きに守備できていた」と振り返るように、三笘の後ろにポジションを取りながら、大外に開いたらインを使うことを心がけていた。基本的には三笘に単騎で仕掛けさせて、必要に応じてサポートしたり、相手ボールになったら素早くディフェンスに行くというスタンスだ。

 本質的にセンターバックである伊藤はこれまで何度か左サイドバックで起用されたが、慣れないサイドバックの動きを模索するなかで、結果的に三笘の進行を妨げるシーンが生じるなど、厳しい評価に晒される向きもあった。

【PHOTO】日本代表のペルー戦出場17選手&監督の採点・寸評。3人が「7.5点」の最高点、MOMは1ゴール・1アシストの7番

次ページ伊藤のクロス。イメージの共有は完璧

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事