エスパルス退団から半年...グラスホッパーの原輝綺は探していた「何か」を見つけたかもしれない【現地発】

2023年06月21日 中野吉之伴

「みんな仲が良いです。ワイワイ賑やか」

昨年12月に清水からグラスホッパーへレンタル移籍した原。写真:滝川敏之

 2022年12月、清水エスパルスからスイスリーグ1部のグラスホッパー・チューリヒへ移籍した原輝綺にとって、初の海外挑戦は刺激に満ちたものだった。

 移籍形態は半年間のレンタル。欧州サッカー界では試験採用の響きが強い。周囲を納得させるために、それなりのパフォーマンスを出せなければというプレッシャーは相当感じていたはずだ。ただ、気持ちが入りすぎるとプレーは乱れてしまう。

 そんな中、グラスホッパーが溶け込みやすい環境だったのは大きかったはずだ。川辺駿、瀬古歩夢がプレーしているほか、スタッフ、チームメイト、監督・コーチはとてもフレンドリーに接してくれる。その点に関して、川辺と瀬古もこう強調していた

「英語やドイツ語をそれほど喋れませんが、それでも関係性はすごくいいです。どうやってコミュニケーションしてるの? という感じですけど(苦笑)。こっちの人はみんな優しいので、それは助かっています。チームの輪に入れてくれようとしてくれるのはすごくありがたいですし、自分たちも飛び込みやすい」(川辺)

「駿くんがこれなくて、ひとりぼっちだったことがあるんですけど。その辺は気持ちっすよね(笑)。ノリと勢いで乗っていきました」(瀬古)

 そんな瀬古は「この前、チームメイトとカヌーをしてきました」と話してくれたこともある。楽しそうだった。
 語学レベルが云々ではなく、そこにつながり合うものがあるかどうか。それがコミュニケーションのベースだ。スイスは国際色豊かで多言語国家。非言語的コミュニケーションが日常から当たり前にあるのも大きい。

 原もそうした雰囲気の良さを存分に感じている。

「みんな仲が良いです。ワイワイ賑やかで、割と好きな雰囲気。ここに来てから時間は経っていませんが、それでもやっぱり得るものは多いですし。来なければ良かったとかは全くないです。本当に来て良かったなと思います」

 こう話してくれたのは28節シオン戦後のミックスゾーン。この試合では後半頭から左SBとして途中出場し、アグレッシブなプレーを何度も見せていた。ただ、加入直後に肩の負傷で戦線離脱していたので、なかなか出場機会をつかめず苦しんでいた時期でもある。

「何かしら自分の中できっかけを掴んで、何かこう自分の中で起爆剤になるようなものを感じ取れたり、周りから盗んだりできたらと思います」
 

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