【欧州主要リーグ】選定! 2016年に注目すべき5人――セリエA編

2016年01月02日 片野道郎

数年後にはバロンドール受賞も期待できるアルゼンチン人FW。

攻撃の全てのプレーにおいて、ワールドクラスの水準を誇るディバラ。 (C) Alberto LINGRIA

 2016年の幕が明けた。欧州主要リーグはこれから後半戦に突入するが、ここでは各国の注目すべき"5人"を取り上げていきたい。
 
 第1回はイタリア・セリエA。いつにない混戦模様のカルチョの国で、より異彩を放ち続けているピッチ内外のタレントたちを、現地在住記者による人選で紹介しよう。
 
――◇――◇――
 
◇NO.1
テベスを彷彿とさせる救世主
――ディバラ(ユベントス)
 
 まずは今、一番輝いている若手ストライカーがパウロ・ディバラ(ユベントス)だ。
 
 178センチ、71キロと体格は標準的だが、最大の武器である爆発的なスピードと電光石火のクイックネスを活かして、チャンスメイクから崩し、そしてフィニッシュまで、攻撃のあらゆる局面で違いを作り出している。
 
 今夏、パレルモから4000万ユーロという高額の移籍金で加入した21歳のアルゼンチン人ストライカーは、序盤戦こそチームの戦術に適応できずベンチを温めることが多かった。
 
 しかしレギュラーに定着した10月半ば以降は、毎試合のようにゴールかアシストを決める活躍で、ユベントスを深刻な不振から救い出した。
 
 そのプレースタイルは、昨シーズンまで攻撃の柱だったカルロス・テベスを彷彿させる。組み立ての段階では2ライン間を動き回って中盤からのパスを引き出し、そこから前を向いての仕掛け、さらには裏に抜け出してのフィニッシュと、攻撃の全プロセスにアクティブに絡んでいく。
 
 敏捷な身のこなし、トップスピードでのボールコントロール、そして止めてから蹴るまでの目にも止まらぬモーションの速さは一見の価値あり。2、3年後にはバロンドールを争うレベルまで成長が期待される、イチ押しのビッグタレントだ。
◇NO.
地元クラブの躍進を支えるアイドル
――インシーニェ(ナポリ)
 
 ディバラがユベントス復活の立役者なら、前半戦の大きなサプライズであるナポリの躍進を支えたひとりが、ロレンツォ・インシーニェだ。
 
 小柄(168センチ)ながら重心が低く、頑強な体格を持った右利きのテクニシャンで、左サイドを基点としてドリブルで中央に入り込み、セリエAナンバーワンのCFゴンサロ・イグアインとの絶妙なコンビネーションから、決定的な場面を作り出す。
 
 このふたりは、ウィンターブレイクまでの17試合で、合わせて23得点9アシストとチーム総得点(31)の4分の3を叩き出しているセリエA最強のペアである。
 
 狭いスペースを苦にしない繊細なボールタッチと正確なコントロールの持ち主で、一番の見どころは、左の「ペナ角」付近からの仕掛けだ。
 
 ドリブルで中央に持ち込んでの創造性溢れる右足のアシストやシュート、縦に持ち出して左足からのクロスと、状況に応じてプレーを使い分けられる。
 
 地元ナポリ出身の生え抜きで、サポーターの期待と愛情を一身に集めるアイドルだが、そのプレッシャーにも動じないメンタルの強さも特筆モノだ。

次ページ総合力ではポグバをも上回る精度抜群のボスニアの攻撃的MF。

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