ノーゴールの悔しさと、チームを救った充実感。得点王狙うI神戸のエース田中美南の決断「勝てばいい。得点は自分のエゴ」【WEリーグ】

2023年06月05日 西森彰

3バックでミラーゲームに挑んだ千葉L

11ゴールで得点ランク2位タイの田中美。千葉L戦では中盤での貢献が目立った。写真:西森彰

[WEリーグ第21節]千葉L 0-1 I神戸/6月4日/フクダ電子アリーナ

 WEリーグ第21節は土曜日のゲームで、三菱重工浦和レッズレディースが大宮アルディージャVENTUSを4-0で破り、優勝を決めた。

 また、同日に行なわれたゲームで3位の日テレ・東京ヴェルディベレーザがAC長野パルセイロ・レディースと引き分けた。前節の時点で、ベレーザとの順位が変わらなかったINAC神戸レオネッサは、日曜日のゲームで勝てば2位が確定することになった。

 これを迎え撃つジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、土曜日の試合が終わった段階で勝点20の8位。最終節は抜け番になるため、このゲームが今季最終戦となる。勝点3を取れば、勝点22の大宮Vまでをかわして、暫定5位まで順位は上がる。ユース出身の鶴見綾香の引退試合でもあり、モチベーションは高かった。

 試合は序盤から、千葉Lペースで流れた。I神戸は「4-4-2想定で向かった」(朴康造監督)が、千葉Lは3バックでミラーゲームを挑んできた。千葉Lの三上尚子監督は「ホームでの最終節で『ジェフらしい戦い方をしよう』と、前半からアグレッシブに、良い守備から良い攻撃を仕掛けようとした」。
 
 3バックの中央へ入った林香奈絵は「ミラーゲームでしっかりと勝負して、そこで勝ち切ることが多ければ、自分たちらしいゲームができるというのは分かっていた」と、この日のゲームが上手く運んだ原因を語った。

 林は、昨夏のE-1選手権のチャイニーズ・タイペイ戦での負傷から、シーズン終盤に復帰した。猿澤真治監督退任後、三上監督就任に伴い、4バック中心にシステムは変わっていたが「監督が代わって、やり方が変わることはありますし、出場したポジションで100%、120%を出すのが、自分の役目」。この日は、守備だけでなく、再三、攻撃の起点にもなり、3バックへの回帰にも柔軟に対応した。

 選手の身体に疲労の溜まるシーズン終盤の試合。湿度は50%を越え、強い直射日光もあって気温26.7度という以上に体感温度は高かった。そんななかでも、千葉Lの岸川奈津希は「自分たちが『走る』『戦う』というチームコンセプトでやっている以上、走り負けてはいけない」と言う。
 

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