「ありえない初歩的なミス」U-20日本代表、“予想外”の敗戦をブラジル人記者が糾弾「世界で通用する選手が3人もいたのに…」【現地発】

2023年06月02日 リカルド・セティオン

イスラエルは確実に日本よりも格下だった

数的優位で1点をリードしながら、日本はイスラエルに屈した。(C)Getty Images

 U-20ワールドカップは今も続いているが、そこに日本の姿はすでにない。

 率直に言う。U-20日本代表にはがっかりさせられた。それは何も私だけではない。日本が負けた翌日のアルゼンチンの新聞は、同じ日のブラジルがナイジェリアに勝った試合よりも、日本がイスラエルに負けたことの方を大きく取り上げていた。ESPNもCNNもBBCもブラジルのGloboもみな一様に「予想外」と報じ、FIFAの公式でさえ、「驚きの結果」と伝えている。それほど日本の敗退は意外だったのだ。

 イスラエルはコロンビアに負け、セネガルとはドローで、ほぼ決勝トーナメント行は絶望的だった。それを日本が再生させてしまった。

 60分間、日本は本当にいいチームだった。ボールを支配し、スピードがあり、常にゲームをリードしていた。全てにおいてイスラエルより上だった。しかし最後の30分は、なぜこれほど変われるのか不思議になるほど、ひどかった。
 
 イスラエルは後半に、入ったばかりのMFビニャミンが立て続けにイエローカードを食らって退場。日本は30分近く数的にも優位だった。5分ではない、30分だ。しかし数的優位を一度も利用しなかったばかりか、ゴールまで入れられてしまった。それも一度ならず二度も。サッカーでは「ボールは丸いから何でも起こる」とよく言うが、これはさすがに起こりすぎだ。

 イスラエルはU-19のヨーロッパ選手権で2位になったが、その時と同じチームではない。オスカル・グロウフをはじめとした主力3選手は、所属クラブが参加を望まなかったため欠場となった。つまり確実に日本よりも格下だったのだ。

 それにしても、なぜ日本はタイムアップの笛が鳴るまで集中できなかったのか。最後の数分、日本はイスラエルがゴールするのを指をくわえて眺めていた。比喩ではなく、文字通り日本はほとんど動かなかった。

 これはW杯だ。日本は引き分けなら決勝Tに進めた。1-0でリードしていて、70分を迎えたら無理に2-0は狙わない。基本中の基本だ。1失点はあり得ても、2点目は絶対に許してはならない。とにかく、固く守るべきだった。一人に一人が張り付いても、日本が一人多いのだから簡単だったはずだ。それが76分に同点され、91分に逆転された。なぜありえない初歩的なミスを犯してしまったのか。

【動画】数的優位の日本が痛恨の逆転負け。イスラエル戦のハイライト

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