【選手権代表校】鹿児島城西|過酷な連戦を勝ち抜いたムービングサッカーで16強の壁を突破できるか?

2015年12月22日 平野貴也

前線の決定力が飛躍のカギを握る。

鹿児島城西(鹿児島)
所在地:鹿児島県日置市伊集院町清藤1938
創 立:1927年 創 部:1993年
選手権最高成績:準優勝(2008年度)
主なOB:大迫勇也(ケルン)、西田剛(愛媛)、岩本颯オリビエ(磐田)

 鹿児島3強対決を制したのは、鹿児島城西だった。
 
 準決勝でインターハイ出場校の鹿児島実を相手に逆転勝利を飾ると、決勝では神村学園との延長戦を制した。初戦をPK戦で辛くも勝ち上がるスタートではあったが、6日間で5試合という過酷な連戦で行なわれる県予選を戦い抜き、終わってみれば2年連続6回目の全国切符をしっかりと掴んでいた。
 
 勝負強さの土台にあるのは、ムービングフットボールだ。シャドーストライカーの役割を担う亀井海凪人、左利きで展開力のある2年生MFの永吉広大を中央に配し、テンポの良いパス回しから両SBの攻撃参加を引き出してクロスから相手ゴールへ襲い掛かる。右でも中央でも巧みにスペースを使うMF霜出優斗は「みんなが走れるので、攻撃では少ないタッチでテンポよくボールを回しながら連動できる」とチームの特徴を話した。
 
 夏には毎年恒例の種子島合宿で5日間にわたり100キロを走破。永吉は「夏を過ぎてから、周りの選手の動き出し、特にワンタッチやツータッチで動き直すのが速くなったし、攻守の切り替えも早くなった」と磨きのかかった機動力に自信を示した。
 
 守備も粘り強く、安定している。ゴールマウスには、1年時から出場しているGK下野和哉が立ち、その前に3年生の生駒稀生、1年生の生駒仁という兄弟がCBの位置に並び、壁のように立ちはだかる。空中戦を中心にポテンシャルの高さを見せる弟と、全体を統率する力のある兄のコンビは抜群だ。ともに「全国大会で兄弟揃ってプレーしている姿を母に見せたい」と、憧れた晴れ舞台で奮闘する。
 
 空中戦に強い小島大和を加えた3枚で相手のパワープレーに対抗することも可能。中盤でプレスをかけて相手の自由を奪えば、最後の砦で跳ね返せる陣容だ。
 
 課題は、前線の決定力だろう。県予選の2回戦では、数えきれないほどゴールポストを叩くなど、ゴールに迫る力がある割には、得点が決まらない。両足でシュートを狙える技巧派FW中村英貴は「インターハイは、自分たちが決めきれずに負けた」と悔しさを胸に臨んだ県予選で、3試合連続ゴールを挙げて意地を示したが、中村と松野下晃平の2トップが点を取り切れるかどうかが、全国大会での飛躍のカギを握る。

次ページ“大迫”後の7年は16強が最高。勢いに乗れば上位進出は可能だが。

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