「いけいけニッポン!」なぜU-20日本代表を地元アルゼンチンのファンが応援したのか。まさかの乱入者まで…【現地発】

2023年05月24日 リカルド・セティオン

「こんないいサッカーをするとは思っていなかった」

松木(中央)のゴラッソでセネガルを破った日本。(C)Getty Images

[U-20W杯]日本 1-0 セネガル/5月21日/ラ・プラタ・スタジアム

 アルゼンチンで行われているU-20ワールドカップ。日本は初戦のセネガル戦に1-0で勝利した。セネガルは今年の1月から2月にかけて行われたU-20アフリカネーショズンカップで圧倒的な強さを見せており(全勝、無失点、最多ゴール)、優勝候補とも言われていただけに、ここまで「最もサプライズの試合だった」とも言われている。

 この日、日本が勝ち取ったのは試合だけではなかった。アルゼンチンの観客の心も掴むことに成功した。

 日本対セネガル戦が行われたラ・プラタのスタジアムには1万2000人近くの観客が入っていた。観客の多くは若者だった。スタジアムに空席が目立つことを嫌った大会組織委員会は、ユースの大会ということもあり、近隣の学校の生徒たちを試合に招いていたのだ。

 キックオフの次点で彼らの立ち位置はニュートラルだったが、試合が進むにつれ次第に日本寄りになっていく。彼らのサッカーを見る目は純粋だ。良いサッカーを見たかった。良いゴールが見たかった。そして日本のプレーを見て、応援することに決めたのだ。

【動画】左足一閃! セネガル戦で松木玖生が決めたゴラッソ!
 
 日本がゴールに近づいた時には「おー!」と叫び、失敗した時には頭を抱える。日本人選手がボールを触る度に「オレ!」と叫び、選手交代には拍手を送る。まるで自国を応援するような熱心さだ。試合終了近くには「ハポン、ハポン、ダレ!ハポン (いけいけニッポン!)」とチャントまで歌っていて、100人ぐらいのセネガルのサポーターが当惑していたほどだ。

 試合後、私はハポンコールをしていた数人に、なぜ日本を応援したのかを聞いてみた。するとそれにはこんな答が返ってきた。

「カタール・ワールドカップでの日本の活躍は知っていたけど、実際こんないいサッカーをするとは思っていなかった。あのプレーを見たら思わず応援したくなるよ」
「日本は世界で一番フェアなサッカーをするからだ」
「日本のアニメや漫画が大好きだけど、日本チームの一生懸命さを見てると思わずあの主人公たちの姿と重ねてしまう。応援しないではいられないよ」

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