林大地は「最後は失速したな」 シュミットは「後半戦は不本意な試合も」 STVVの日本人選手はシーズン最後に何を語った?【現地発】

2023年05月11日 中野吉之伴

「日本人選手は衝突することがない」

最終戦後にコメントした(左から)林、岡崎、シュミット。(C)STVV

 サッカーの素晴らしさはスタジアムを訪れて、はじめて体感できることも多い。それはスタジアム内での雰囲気やファンとの触れ合いといったことだけではなく、道中いろんなことに遭遇するからだろう。ベルギーリーグ最終節シント=トロイデン(STVV)対ロイアル・アントワープの取材に訪れたのだが、たどり着くまでがなかなかに大変だった。

 当初現地時間18時半の試合開始だったので、当日の朝早くに出発しても十分に間に合う計算で準備をしていたが、試合1週間前に急遽開始時間が13時半に変更に。当日発だとどうやっても間に合わない。前日深夜発の夜行電車でデュッセルドルフまで移動し、そこからバスでベルギーのリエージュ、そこまでいけば後は1時間弱でつくので大丈夫なはず。そんなこちらの期待はあっさりと裏切られる。今度はリエージュからシント=トロイデンまでの区間で工事があり、バスと電車を乗り継いで2時間強移動しなければならないという。

 駅の係員に教えてもらったバス停から「これかな?」と思って乗り込んで、バスで運転手に行く先を確認したら、「オッケー。大丈夫!」って言っていたのに、移動先が全く違う。慌てて次のバス停で降りて駅までダッシュで戻り、なんとか目的のバスに飛び乗る。今回はそれ以上のバスや電車の遅延はなく、試合開始には何とか間に合うことができた。

 STVVのホーム「大王わさびスタインスタジアム」は賑わいを見せていた。小雨がしとしとと降る中、青と黄のマフラーを回しながら、若者グループが元気にチャントを歌い、ファンショップの前ではお父さんやお祖父さんにクラブの話をうんうんとうなずきながら聞いている子どもたちがいた。最終節ということもあり、上々の入りだ。
 
 日系スポンサーが数多く名を連ねるクラブとしての現地評価が気になっていたが、ところどころ日本語表記が目に入ってくる以外は欧州サッカースタジアムの雰囲気そのものだ。

 STVVを率いるベルント・ホラーバッハ監督は、日本人スタッフの働きに感心していることをドイツメディアで話していたことがあった。

「このクラブのあらゆる分野で多くの日本人が働いている。例えばビデオ分析スタッフは日本人で、ドイツ5部リーグでプレー経験があるし、通訳もできる。2人の料理人がいて、日本食をアレンジしてメニューに載せてくれる。それに日本人プロ選手は非常に規律正しく、勤勉で、いつでも協力して取り組もうとしてくれる。

 衝突することがない。他の人のためにすることを嫌がる人はいない。監督としてそうした選手たちをトレーニングできること以上に素敵なことはない。非常に知識欲にあふれていて、飲み込みも早い」

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