衝撃ヘッドが炸裂!! 森本貴幸が“15歳11か月28日”で打ち立てたJ1最年少得点の金字塔【今日は何の日?】

2023年05月05日 石川聡

オシム率いる市原を相手に劇的な決勝点を決めた

15歳とは思えない堂々たるプレーでJ1の舞台に衝撃を与えた森本。最年少得点記録は19年間、破られていない。(C)SOCCER DIGEST

 1993年5月15日に産声を上げたJリーグは今年、節目の30周年を迎えている。

 開幕当時の赤ん坊が成人し、その子ども世代が日本のトップクラスのプレーに目を輝かせようかという時間の積み重ね。欧州や南米の歴史には比べるべくもないが、着実に年輪を増やしている。最多、最少、連続など、30年の間にはさまざまな記録も生まれたが、今日5月5日は「こどもの日」ということに関連づけて、この日に生まれ、いまだに破られていないJ1最年少得点記録を紹介しよう。

 記録が誕生したのは2004年。J1リーグ1stステージ第8節、味の素スタジアムで行なわれた東京ヴェルディ1969(現東京ヴェルディ)対ジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)戦でのことだった。試合はイビチャ・オシム監督率いる市原が、22分にFWサンドロの得点で先制。オズワルド・アルディレス監督が指揮を執る東京Vは81分、MF三浦淳宏の同点ゴールでようやく追いついた。

 物語の主役は、その4分前にFW平本一樹と交代でピッチに立った坊主頭の高校1年生、FW森本貴幸だ。

 右サイドからMF小林慶行がゴール前にクロス。森本は巧みな動きでDF茶野隆行のマークをはずし、低く飛んできたボールをヘディングで合わせると、懸命にダイブする市原GK櫛野亮の手をかすめるように、ゴール左隅に決まった。
 
 このとき森本は「15歳11か月28日」(参照元:Jリーグ公式サイト。以下、記録は同)。東京Vはルーキーの価値ある一撃で2-1の逆転勝利をものにした。鈴木昌Jリーグチェアマン(当時)も1stステージの総括で森本の台頭を「日本サッカーの将来に大きな期待を感じさせるもので、ますますの成長を期待したい」と称賛している。

 この2004年シーズン、森本はジュビロ磐田に0-2で敗れた開幕戦で51分に交代出場し、「15歳10か月6日」というJ1最年少出場記録も打ち立てている。まだ中学生の快挙で、このJ1記録もまだ破る選手が現われていない。次節からリーグ戦4試合連続先発出場とアルディレス監督の信頼を獲得した期待の星は、シーズン終了までに22試合に出場して4得点という数字を残し、Jリーグ新人王(現ベストヤングプレーヤー賞)の栄誉に輝く。

 その表彰が行なわれた2004年のJリーグアウォーズで「今年はたくさんの経験をし、一瞬一瞬が勉強の毎日だった。ここまで育ててくださったチーム関係者、下部組織のコーチ、家族に感謝したい」と、初々しいタキシード姿で謙虚に謝意を表した。

【動画】森本貴幸が「15歳11か月28日」で決めたJ1最年少得点をチェック!

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